ナメクジに塩を掛けると溶けると言いますが、砂糖を掛けた場合はどうなるのでしょうか?
庭にナメクジが大発生した年がありました。
プランターや石垣、コンクリート床などにくねくねと光沢を帯びた跡がついているので、ナメクジが徘徊したのだなということがわかります。
あわててナメクジ駆除剤を購入してばらまいたのですが、ふと、“ナメクジに塩をかけると溶ける”というウワサを思い出し1匹に塩をかけてみたら、なるほど、小さくなって干からびてしまいました。
では、塩ではなく、砂糖をかけたらどうなるのでしょうか。今回はこのテーマについて掘り下げます。
そもそも塩を掛けると本当の溶けるのか?
ナメクジの体の90%は水分だといわれています。その水分を逃さないように、体の表面にネバネバしたでんぷん質の粘膜を分泌しています。
ナメクジが這い回ったあとには、テカテカ光る白っぽい透明の跡がつくのはそのためです。
つまり、体表が無防備に近い粘膜で覆われているナメクジは乾燥が苦手なので、日中は植物の根元や石の下などに退避しているのです。
乾燥に弱い癖に体表が無防備である事がキーポイントになります。
…で、ナメクジに塩を掛けるとどうなるかと言うと、確かに溶けるように小さくなるのですが…。
しかし、溶けて完全になくなってしまうということはありません。干からびて小さくなるというのが正確な表現です。
なぜ小さくなるのか?
ナメクジに塩をかけると干からびるということには、「浸透圧」が関係しています。
水に溶けている塩などの物質は、隣と圴一の濃度になろうとします。
濃度の濃いものと薄いものが隣り合ったとき、その濃度を一定にしようとして、薄いものに含まれる水分が濃い方へ移動して薄めようとする働き、これが「浸透圧」です。
そのときに隣との境目に「半透膜」という、水だけを通し、溶けている塩などの物質は通さない膜があることが必要です。
ナメクジの体内の90%は水分で、表面は半透膜の皮膚で覆われています。
そのため、ナメクジに塩をかけると、ナメクジの外側が塩で濃くなるので、体内の水分が半透膜からどんどん外に移動するわけです。
体内の水分を失ったナメクジはしぼんでしまい、小さくなってしまうのです。
ナメクジに塩をかけても死なない?
ナメクジに塩をかけると、溶けるのではなく、水分を失って縮んでいるのです。
塩分が多ければ死んでしまいますが、即死するのではないので、途中で塩を洗い落とす多量な水をかけると復活することもあります。
まあ、数日で死んでしまう事は確かですが、即死はしない事があるという事ですね。
なお、ナメクジを即死させるには熱湯をかけるのがよいとされています。
ジュースやビールの香りに寄ってくる習性があるので、夜中にこれらでおびき出し、翌朝熱湯をかけると一網打尽に駆除できます。
ナメクジに砂糖をかけると?
さて、ナメクジに砂糖をかけるとどうなるでしょうか?
ナメクジに塩をかけると縮むのは、体内と外側の濃度の差が原因です。
そのため、塩ではなく砂糖をかけても、濃度差はでるので、「ナメクジに砂糖をかけてもしぼむ」ということになります。
ただし砂糖の浸透圧は弱いので、塩と同様の効果にするためには塩の6倍の量が必要だということです。
ナメクジと砂糖のまとめ
結論から言えば、ナメクジに砂糖を掛けると死にます!
ただし、浸透圧の関係で塩を掛けるよりも時間が掛かりますし、6倍の量が必要となる為、ナメクジ退治にはイマイチおすすめではありませんね。
むしろ、あまりお金を掛けないでナメクジを退治するなら、熱湯をかける方法が確実でおすすめです。
(ライター sensyu-k)