皆さんはカタツムリに寄生するという恐ろしい寄生虫を知っているだろうか?
寄生虫の中でも最も気色の悪い、宿主の脳みそまで支配してしまうタイプの寄生虫、その名もロイコクロリデュウム。
ロイコクロリデュウムの生態
ロイコクロリデュウムはアメリカやヨーロッパに生息する小さな寄生虫。
そう、寄生虫に限らず大きさではその生物の本当の恐ろしさは計れない‥‥
ロイコクロリデュウムは、まずは鳥の糞の中に卵の状態で存在しています。
この糞をカタツムリが食したとき、卵はカタツムリの体内で孵化し、しばらくの間カタツムリの食べるエサで成長していきます。
大きくなったロイコクロリデュウムは徐々にカタツムリの触角へと移動します。
カタツムリの触角は本来の白色から緑色に・・・・・触覚に移動したロイコクロリデュウムはカタツムリの脳をコントロールし始めます。
カタツムリを夜ではなく、昼間だけ活動するように脳に指令を出してしまうのです。
緑色になって昼間に葉っぱの上をのそのそと歩いているのは何でしょう?
そう、芋虫です。イモムシは鳥たちの大好物!!
鳥はロイコクロリデュウムに寄生され、脳まで侵されてしまったカタツムリをイモムシと間違えて、食べてしまうのです。
こうして、再び鳥の体内の戻ったロイコクロリデュウムは、今度は鳥の中で成虫のジストマとなり、再び鳥の直腸で卵を産むのです。
後は再び、糞をして、カタツムリが食べて‥‥の繰り返し。
人間とカタツムリの関係
カタツムリは私たちにとってもとても馴染みのある生き物です。
童謡やお話の世界にはよく登場します。
日本では食用にはなっていませんが、エスカルゴの料理は有名です。
そんな風にかなり身近なカタツムリにこんな危険性があったなんて驚きじゃありませんか?
寄生されているカタツムリを食べたら
寄生虫のいるカタツムリをもし、人間が食べてしまったら、どんなふうになるのでしょう。
万が一、そんなことがあった場合には、寄生虫は成虫になりきらないまま人間の髄膜へ移動し、そこで生き続けます。
その結果人間は髄膜炎になってしまうのだそう。
髄膜炎の症状は頭痛、吐き気、うなじの硬直など、とにかく早めの処置が必要になります。
万が一外国でカタツムリを食べて、具合が悪くなった時にはすぐに病院へかかることをオススメします。
日本の寄生虫のいるカタツムリ
沖縄にはアフリカマイマイというカタツムリが生息しています。
アフリカマイマイにはロイコクロリデュウムとはちょっと違うもう一つの寄生虫が宿る可能性があります。
それは広東住血線虫という22~23㎜程の線虫です。ナメクジやカタツムリには幼虫の時に宿り、最終宿主はドブネズミやネズミです。
沖縄では平成12年にこの線虫による広東住血線虫症で亡くなった人がいるという報告があります。
こちらもロイコクロリデュウムと同じく、好酸球性髄膜炎という髄膜炎を起こす可能性があるようで、広東住血線虫によって引き起こされたと考えられる病気の総称を広東住血線虫症というのだそうです。感染後、潜伏期間は2~35日と幅広く、この線虫が最も多く生息しているのはタイ、次いで中国と言われています。
アフリカマイマイの他にもチャコウラナメクジやタニシ、カエルなども寄生の宿主となるので、とにかくこれらの生物を触った時には必ず手を洗うこと。
それから、どんなにお腹がすいても、決して生では食べないことを肝に銘じなければなりません。
カタツムリの寄生虫のまとめ
あんなに子供の頃触って遊んだのに・・・・
あの頃ちゃんと手を洗っていたんだろうか・・・・!?
大人になって今更背筋のゾッとするような思いです。本当に今更ですが、皆さん、これからは外で生き物を触った後はきれいに手を洗いましょうね。
(ライター ナオ)