みさなん、ウミヘビを見たことはあるでしょうか。
ほとんどの方は写真や、水族館に展示されているのを見たことがあるといった程度だと思います。
暖かい地域に住んでいてダイビングをよくしているような人であればもしかすると野生のウミヘビを生で見る機会もあったかもしれません。
実際のところその生態や特徴、また食用として使えるのであればその味まで知っている人は少ないです。
今回紹介するのはそんなウミヘビの仲間であるエラブウミヘビです。
エラブウミヘビとは?
基本的にウミヘビは暖かい海水を好む傾向がありますが、エラブウミヘビも同様であるため、生息地は東南アジアやフィリピンといったおおよそ日本の南西に位置する暖かい地域です。
日本で言うと沖縄や奄美で確認されていますが、近年の温暖化が影響し、その生息地も変化しつつあります。
そしてエラブウミヘビはもちろん海に入るため、流されてしまうことで本来の生息とは違った場所で捕獲された例もあります。
見た目については、背中に横帯があるのが特徴で全長は1m前後、大きいもので1.5mほどにも達します。
温厚な性格だが毒には注意!
エラブウミヘビは夜行性なので昼間は海辺の岩場に潜んで活動を休止していることが多いです。
陸上での活動も多いため捕獲がしやすいですが、あまり刺激しすぎるとかまれてしまうこともありますので注意しなければなりません。
普段はおとなしい性格で突然襲ってくることはありませんが、やはり危険と思われてしまうと防御策をとってきます。
しかもけっこう強い毒を持っていて、ハブの数十倍とも言われていますのでむやみやたらに素手で触りに行くのは控えましょう。
捕食対象としてはやはり肉食で、小魚や甲殻類も食べます。
沖縄とエラブウミヘビの関係
エラブウミヘビは沖縄近辺ではイラブーと呼ばれ歴史的にも関りを持ち続けています。
この地方ではエラブウミヘビが食用に捕獲され、様々な調理を施すことで特産品としても扱われています。
現在では特産品として普通に店頭に並んでおり、特にお土産を売っているようなお店ではよく販売されていますが、その昔、沖縄県が琉球王国であった時代には高級料理として扱われていたので庶民にはなかなか手の出せないような品だったのです。
このように高級な伝統料理になっていたことには、エラブウミヘビ自体の捕獲が、ある立場の人のみが捕獲することを許されていたということも理由としてあります。
琉球料理としてのエラブウミヘビ
そんなエラブウミヘビから作られる代表的な料理に「イラブー汁」があります。
イラブー汁はエラブウミヘビを乾燥させ、または燻製にしたのちに長時間煮込んで作られる汁物料理です。
もともとは薬用としての効能を期待されてつくられたため、多くの栄養素と効果がありあます。
アミノ酸等も多く含まれており、具体的な効能として疲労の回復や血行促進、冷え性の解消などがあります。
またコラーゲンも豊富であるため美容にも良いとされています。
そんなイラブー汁ですが、身の臭みが強く下準備でしっかりと臭みを抜かなければなりません。
この下準備にかなりの手間がかかるらしく、長時間煮込んで何度も水を替えるなど、その過程はいろいろとあります。
そうして出された出汁には成分が多く含まれているため食す機会があれば身を食べるだけではなく、是非汁を飲み干すとより堪能できるでしょう。
また、このイラブー汁以外の特産品にはイラブー酒があり、これには、泡盛にエラブウミヘビがまるまる一匹つけ込まれており増強薬としても好まれています。
エラブウミヘビそのものの味は?
イラブー汁やイラブー酒など、料理について紹介しましたが、結局のところそのエラブウミヘビの身自体の味はどのようなものなのでしょうか。
実は強い臭みを持っている割に味そのものはあまりなく、淡白に感じられることが多く、まさにもともと薬用としての料理であったという背景を感じることになります。
しかし調理によってエラブウミヘビの身とその効能が活かされてくるため、是非一度食べてみると良いでしょう。
(ライター yuki)