海の生物の中では最も毒性が強いと言われるウミヘビ。
その危険度合いについてまとめてみました。
ウミヘビの種類
ウミヘビは大きく分けると爬虫類のウミヘビと魚類のウミヘビがいます。
どちらも、海の中に生息しているのですが、爬虫類のウミヘビはコブラなどと同じでウロコがあり、肺呼吸をしているので、水上に顔をだして呼吸する必要があります。
一方魚類のウミヘビはウロコがなく、エラ呼吸しているので、ずっと海水にもぐったままでいられます。
今回話題にするウミヘビは爬虫類の方。毒を持っているのは爬虫類の方のウミヘビだけなんです。
ウミヘビの特徴
コブラの仲間から進化して、海に生息できるようになったウミヘビは熱帯や亜熱帯地域に生息していますが、回遊する種類は亜寒帯地域の海まで北上してきているのだそうです。
尾の部分が平べったくなっていて、泳ぐのに非常に適しています。
くねくねと体をくねらせて海中を泳ぎ回り、性格は大人しいものが多いのですが、中には好奇心旺盛で自分から人間に近づいてくるものもいます。
手で持つと攻撃して、噛みついてくるので、非常に危険です。
ウミヘビの毒
ウミヘビはコブラの仲間ですから、コブラの毒と同じく、神経毒を多く持ったヘビです。
神経毒は出血毒に比べ、即効性が高く、致死性も高いのが特徴です。
相手の神経の放電を塞ぎ、麻痺やしびれを引き起こさせて呼吸や心臓の動きを停止してしまいます。
その強さはコブラの半致死量よりも低く、強力です。ハブなどと比べると毒の強さは70~80倍と言われています。
しかし、毒性が高いわりには危険な生物としての認知度が低いのは何故なのでしょう?
それには、牙の構造に理由があるようです。
ウミヘビの毒牙
ウミヘビの毒牙はハブやマムシなどの猛毒を持つ陸上の蛇と比べるととても短く、毒を注入するのには非効率的なつくりをしています。
短い牙の中央に溝があり、毒液はその溝を伝って相手の体内に入っていくのですが、短さと溝を伝うという性質上、毒が相手の体内に注入される確実は低く、ハブやマムシが注射針のような管状の長い毒牙を持って確実に相手に毒を注入するようにはいかないのです。
そのため、獲物をしとめたり、敵を攻撃するのにも、何度も何度も噛まなければならなくないという状態になります。
その間に相手に逃げられたりすることも多々あるというわけ。
実際ウミヘビに噛まれた人間の80%が助かると言われ、危険度は結構低いと考えて良さそうです。
ウミヘビが毒を持つ理由
ウミヘビが毒を持つのにはもちろん、敵を攻撃するという立派な理由があるのですが、もともとはウミヘビの毒も人間の唾液のようなもの。
食べ物を分解しやすいような、消化酵素を含んだ消化液なのです。
蛇のような細長い生物が消化しやすいようにするには結構強力な消化液が必要になるということなのでしょうか・・・?
ウミヘビのまとめ
ウミヘビは爬虫類と魚類がいて、毒を持っているのは爬虫類の方のウミヘビ。
ウミヘビの毒は強力で、その強さはハブの70~80倍ほど。
毒性は強いが、的中率が低いため危険度にしたらそれほどではない。
噛まれて、毒が注入された場合は呼吸困難や心臓麻痺に陥り、その場でできる応急処置はあまりない。
噛まれた人の80%が助かっている。
日本では沖縄など南西諸島で多くみられるウミヘビですが、最近は九州や四国の海でも目撃されるようになっているので、海に潜る時には注意が必要です。
これから海のシーズン突入。海でヘビのような長い生き物を見つけたら、くれぐれも不用意に近づかないこと!!
いくら危険度が低いとはいえ、十分強力な毒は持っているわけですから。
(ライター ナオ)