みなさんは「便所コオロギ」と呼ばれている虫を知っていますか?
その虫の正式名称は「カマドウマ」。
便所コオロギと呼ばれているからには、コオロギに見た目が似た虫なのか、それともコオロギのようにコロコロと鳴くのか。
もしもカマドウマもコオロギのように鳴くのなら、どんな鳴き声なのか聴いてみたいですよね。
そこで今回は、カマドウマとコオロギの違いやその鳴き声について詳しく紹介していきたいと思います。
カマドウマとコオロギの違い
カマドウマはどことなくコオロギと似た姿をしています。
少し離れたところから見ると、ちょっとどちらなのか区別がつかない人もいるでしょう。
しかし近くでよく見てみると、姿の違いが分かりますよ。
大きな違いはまずは足の長さ。
コオロギも昆虫の中では比較的太く長い足を持っていますが、カマドウマはそれよりも更に太く長い足をしています。
その長い足から繰り出されるジャンプ力は凄まじく、壁などに激突して死んでしまうこともあるようです。
(コントのような話ですが、実際にある話です。)
このジャンプ力は人間にとっても脅威。
カマドウマは咬んだり刺したり何か人間にとって害があるわけではありませんが、予測不能な動きで自分めがけて大ジャンプをされると、思わず悲鳴を上げてしまいそうです。
また、体は「猫背」のように内側に湾曲しており、翅もありません。
近くで観察したり、よく画像を見比べてみると、その違いはすぐにわかりますね。
主に身を隠すための狭い場所や暗い場所、湿気の高い場所を好むので、昔はトイレやかまどの側によく出没していたのでしょう。
それが「便所コオロギ」という何とも不名誉な名前と、「竈(かまど)馬(馬のような顔、馬のような脚力)」という風流でカッコイイ相反する名前の由来だと言われています。
害があるわけでもないのに、便所コオロギとはひどいネーミングですよね。
こんな名前のせいで、より嫌われてしまっているような気がします。
「竈馬」というカッコイイ名前だけなら、もう少し人気が出ていたのではないでしょうかね。
どんな鳴き声をしている?
次に気になるのは「カマドウマは鳴くのかどうか」ということですね。
便所コオロギと呼ばれるくらいですから、もしかしたら昔はトイレでコオロギのように美しい鳴き声を奏でていたのかも。
しかし結論から言うと、カマドウマは「鳴きません」。
残念ですが。
なぜ鳴かないのか?
その理由を知るためには、まずコオロギの鳴き声の仕組みについて知る必要があります。
「鳴き声」とは言いますが、口から音を出しているわけではありません。
コオロギは右の翅の裏側がギザギザとしたヤスリ状になっており、これを左の羽の表側でこすることにより、摩擦で音を出すのです。
さて、ここで一つ思い出してもらいたいのが、「カマドウマには翅がない」ということ。
つまり、音を出すための翅がないので、コオロギのように鳴くことはできないのです。
もし「カマドウマの鳴き声を聴いたことがある」という人がいれば、それは他の虫と見間違えただけということですね。
もしくは、何かの音を鳴き声と聞き間違えたか。
どちらにしろ、本当に鳴くカマドウマなんてものがいたら、新種大発見ですよ。
カマドウマについて
カマドウマはコオロギに似ていますが、コオロギのように鳴いたりするわけではないことが分かりましたね。
見た目の気持ち悪さではコオロギもけっこうなものですが、美しい鳴き声という武器がある分まだ好意を寄せられることもあります。
しかし美しい鳴き声も持たず、見た目も良いとは言えないカマドウマ…見た目だけで嫌われてしまうのは可愛そうな気がしますね。
(ライター もんぷち)