沢山の脚でするすると滑るように這っているムカデ。
家の中で彼らの存在を見つけ、ゾッとしてしまった経験はないでしょうか?
そんなちょっと厄介なムカデについてご紹介していきます。
ムカデの特徴
とにかくたくさんの脚のあるイメージの強いムカデですが、学問上で細かく分類すると多くの種類に分類されます。
私たちが一般的に目にしやすいムカデはオオムカデ目のムカデで、トビズムカデやイシムカデと言いますが、ほとんどのムカデの頭部には一対の触覚と口器があり、その後に多くの節と脚が続きます。
オオムカデ目の脚は21対から23対。種類によっては少なく15対のものや、逆に100対や173対あるものも。
日本最大のトビズムカデ
日本に生息する最大級のムカデはトビズムカデです。
大型のムカデで、今までに記録されているもので20㎝。
もともと肉食で攻撃的なムカデですが、このように大きいものになると昆虫だけでなく、ネズミやコウモリなどといった哺乳類も捕獲することがあります。
ヒトに対しても積極的に攻撃を仕掛けてくるほど。
ムカデの毒
ムカデは顎肢に毒腺を持っていて、主に捕食する際に使います。
人間にとっては致死量に至るほどでは全くないのですが、アナフィラキシーショックだけは気を付けなければなりません。
万が一ムカデに噛まれてしまった場合には速やかに毒を絞り出して、流水で洗い流し、抗ヒスタミン剤を塗っておくことをオススメします。
ムカデと人間のかかわり
現在は海外の珍しいムカデが輸入され、ペットとしても人気の高いムカデですが、日本では昔から「攻撃性が高い」ことや「決して後ろに下がらない」(これは俗説)という理由から、戦いの時のシンボルとして使われ、装具のデザインになることも多かったようです。
ムカデの生態
ムカデの寿命は10年ほどと言われています。
湿気の多い葉の裏や人家の軒下などに生息していて、繁殖期は5~6月です。
家の中の害虫として姿を現すのは、この繁殖期ともうひとつ、子供たちが巣立っていく!?9~10月が多いようです。
ムカデの赤ちゃん
ムカデのオスは繁殖時期になると網籠という産卵場所を作り始めます。
ここにメスを誘導して連れてくることによって、繁殖が始まるのですが、オスの役割はほんのわずか。
オスはこの網籠に自分の精子を置き、メスを連れてきます。
連れてこられたメスはその精子を生殖口から取り入れ、一時的に体内で保管しておき、半年ほどかけて、数回にわたって受精を行うのです。
オスはメスを連れてきてしまってからの役割はなし。メスが一匹で産卵から子育てまでを行います。
メスは一回の出産で5~80個ほどの卵を産み、卵は1か月ほどで孵化します。
その間メスは一切飲まず食わずでその場で赤ちゃんたちを見守り、ムカデの赤ちゃんは2か月に一度の脱皮を2回程繰り返したのち、3か月後には一斉に親元を離れていくのです。
つまり、最低でも3か月はメスは何も口にせずに子供を育てるというわけ。
こうして命がけで育てられた赤ちゃんたちはそれぞれの力で生き抜き、3年後に性成熟を迎えます。
性成熟を迎えるまでは10回ほど脱皮を繰り返すと言われています。
こういった赤ちゃんの育て方は、幼生期の死傷率を断然低くし、そのことによって旅立ちの時には家の中に大量の小さなムカデが発生する原因にもなるのです。
ムカデにとっては見事に美しい子供たちの旅立ちの日が、人間の私たちにとっては、ネットを調べたり、業者をよんだりの大騒ぎにの一日になるというのだから・・・・・まあ世の中ってそんなものですよね。
まとめ
ムカデの姿を見かけると、思わずゴキブリのようにスリッパでたたいてしまったことも数々。
必死の子育ては私だけではなかったんだ・・・・と反省した次第です。