虫が3つ合わさった漢字「蟲」
なんと読むか知っていますか?
虫がたくさん集まっていて、虫が沸いたような感じを受けます。
うじゃうじゃっとしていて、気味が悪いような印象を感じる方もいるかと思います。
そんな「蟲」ですが、実は「虫」と深い関係性があったんです!
「蟲」という漢字
虫が3つ合わさった「蟲」の読み方は、音読みで”チュウ”、訓読みで”むし”です。
部首は虫、偏はむしへんで、画数は18画です。
常用漢字外の漢字で、漢字検定では1級または準1級に出題される漢字です。
「蟲」の意味
「蟲」は、昆虫や爬虫類、ねずみなどの小動物、魚類などの生物全般を意味します。
簡単に言うと、動物の哺乳類に属するもの以外の生き物のことです。
「蟲」は特に、ムカデやイモムシなどの爬虫類を指して使われます。
映画やアニメ、小説では、巨大な昆虫や昆虫のモンスターのことを「蟲」と呼ぶ事が多いです。
独特の気味の悪さを持った昆虫を「蟲」と呼んでいるんですね。
虫が3つ合わさった不気味な感じが、漢字から伝わります。
「蟲」の由来と歴史
「蟲」の漢字の由来は、ヘビではない小虫(ウジムシなど)が集まっている様子を象形文字にしたものです。
「蟲」という漢字は、もともと人間を含めたすべての生物のことを示していました。
鳥のことを「羽蟲(うちゅう)」、獣のことを「毛蟲(もうちゅう)」、魚類や爬虫類のことを「鱗蟲(りんちゅう)」、
亀などの甲殻類と貝類は「介蟲(かいちゅう)」、人間を「裸蟲(らちゅう)」と呼んでいました。
「虫」という漢字
「虫」の読み方は、音読みで”チュウ”または”キ”、訓読みで”むし”です。
部首は虫、偏はむしへんで、画数は6画です。
漢字検定では10級に出題される漢字で、小学校1年生で習います。
「虫」の意味
人間・鳥類・獣類・魚類・貝類以外の小動物を意味し、特に昆虫に使われます。
人の体内に住む寄生虫(ノミやシラミ)なども虫と呼ばれます。
その昔、人は人間の体内に虫がいると信じていました。
その虫が人間に色々なことを起こすということから、人間の考えや感情を表す日本語として作られて使われています。
虫の知らせ(予感・予言)、虫の居所が悪い(機嫌が悪い)、虫がいい(自分勝手)などがあります。
弱虫や泣き虫は”嫌な人”という意味で使われたり、虫を使ったことわざなどもあります。
秋に美しく鳴く虫の総称として秋の季語として使われたりもしています。
「虫」の由来と歴史
「虫」の漢字の由来は、頭が大きくてグロテスクなヘビやマムシの形をかたどった象形文字です。
特に毒をもったヘビのことを示しています。
昔の人には虫もヘビも同じように見えていて、ヘビは虫の中で王様と考えられていたので、ヘビの形を「虫」という漢字の元にしました。
もともと「虫」は”キ”という読み方で使われていました。
「蟲」と「虫」の関係性
古い昔「蟲」と「虫」の漢字は、違う文字で異なる意味でした。
しかし、「蟲」は画数が多い為、書く事が面倒になり「虫」が「蟲」の略語として使われるようになりました。
「虫」の読み方も”キ”から”チュウ”になり、「蟲」は小さな「虫」がいっぱいいるように見えるので、ヘビよりも小さい小動物(特に昆虫)を示すようになりました。
ヘビには”蛇”という漢字も新しく作られ、「蟲」の本来の意味も「虫」とごちゃ混ぜになってしまったんです。
元来、虫を表すならば「蟲」を用いなくてはならないということです。
虫が3つ集まった漢字「蟲」も見た目から、うじゃうじゃしたとした虫の気持ち悪さが伝わってきます。
漢字には深い意味があり、時代に応じて変化してきた歴史あるものなのです。
「虫」を知るには「蟲」を知っておかなければなりませんね。
(ライター 雲呑)