小学校のプールや水たまりで見かけたことのあるアメンボたち。
彼らは忍者顔負けの水面張力ですいすいと水上を走り回ります。
そんな水上の忍者、アメンボの表面張力はどこに秘密があるのでしょうか?
日本のアメンボ
アメンボは日本各地の水たまりや池等で見かけることのある昆虫です。
日本全体では約30種類近くのアメンボがいますが、私たちが良く見かけるアメンボはナミアメンボや、オオアメンボ、シマアメンボなどといわれるアメンボです。
特にナミアメンボが略してアメンボともいわれているようです。
アメンボの特徴
アメンボの体調は3~26mm程度。水の上をすいすいと移動し、水面にいる昆虫の死骸などの体液を吸って生きています。
アメンボの口には蚊と同じ針のようなものが付いていて、その針を刺し、消化液を注入し、それによって分解された昆虫の体液を吸っているんです。
皆さんも子供の頃、「あ~アメンボだ~」といってアメンボを手にとり、痛い思いをしたことはありませんか?これは針を刺されたときの痛みだったわけです。
アメンボは昆虫ですから足が6本あります。
前脚は短いのですが、中脚と後脚が非常に長く、その脚の先端部分には短い毛が密集しています。
この密集した毛があることによって、その毛が水をはじき、表面張力が発生して、水面に上手に浮かび上がることができるんです。
まして体も軽い!!0.02gほどという軽さもこの浮力に影響しています。
でも、浮かび上がるだけではただ風に流されてしまうだけ。
毛の他にもアメンボの脚の先っちょには小さな爪が付いています。この爪で水を押さえることによって、上手に水面を漕いで移動することが出来るというわけです。
アメンボの名前の由来
アメンボの名前は実は飴の棒からきているといわれています。
アメンボには臭腺があって、そこから甘い飴のような臭いを発します。
これは魚類などに襲われないようにするためらしいのですが、人間にとっては飴のような美味しい臭いでも、魚類はこのにおいを嫌うということなんですね。
飴のような臭いを持つ上に体が棒のように細い種類が多いから、飴ん棒ということ。
漢字で書くとちょっと美味しそうな名前の昆虫なわけです。
カメムシのように強烈な臭いを発する昆虫がいるかと思えば、こんなアメンボみたいな幸せな甘いにおいを発する昆虫もいるんですね~~。
アメンボは飛ぶの?
プールにいる沢山のアメンボはどこからやってきたのでしょう?
そんなことを考えたことはありませんか?
実はアメンボには翅がついていて、かなりの距離を飛ぶことが出来るんです。
アメンボを捕まえようとして、飛び跳ねて逃げられた経験のある人は多いはず。ぴょんぴょんと飛び跳ねるだけでなく、きちんと飛んで他の水場まで移動することも可能なんですよ。
彼らはよく見るととても美しい翅を持っています。
中にはあまり飛べないアメンボもいるのですが、エサ場や産卵場所を求めて移動しながら子孫を残している昆虫なんです。
アメンボの一年
アメンボは春先に交尾をし、1mmほどの俵型の卵を草などに産み付けます。
2匹重なったアメンボも良く見る光景です。
アメンボは水に潜ることも可能ですので、産卵の時は水に潜って産卵することもあります。
この時は体全体を覆っている体毛に空気をまとわせ、潜水して呼吸を確保しながら産卵に挑んでいます。
彼らが普段潜らない水の中まで潜って産卵するのは、アメンボの卵に産卵するハチがいて、その天敵から卵を守るための行動だと考えられています。
産卵したアメンボたちは秋になると、一年の短い命を終えるのですが、新しく羽化して誕生したアメンボたちは脱皮を繰り返し、成虫になって越冬します。
越冬に関する詳しいことはあまりわかっていないようなのですが、どうやら泥の中や葉っぱの影などで越冬しているらしい、といわれています。石の下なども越冬場所なのではないかと思います。
実際に川などで遊んでいた頃、よく水のない地面からピョンとアメンボが飛び跳ねた光景は記憶に残っていますから。
(ライター ナオ)