ナメクジには害があるのでしょうか?
ジメジメとした梅雨の季節になると見かける「ナメクジ」
ニュルっとしていて少し気持ち悪いですよね。
ナメクジの生態とナメクジの害について、詳しく調査していきたいと思います。
ナメクジに害はあるの?
日本で見られるナメクジ自体には毒がなく、病原性細菌やウイルスなども持っていません。
ですが、「広東住血線虫」という虫がナメクジに寄生します。
この広東住血線虫がとても危険なのです。
広東住血線虫とは?
広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)は、東南アジアからオセアニアにかけて広く分布しています。
日本では、南西諸島や琉球諸島に多く分布しています。
広東住血線虫は宿主の血液中に生息して成長します。
まずはネズミに寄生
まず、広東住血線虫の幼虫がネズミに寄生して成長します。
ネズミの肺動脈の中で糸状の成虫になります。
この成虫の大きさは体長22~23ミリです。
成虫は産卵し、孵化した幼虫はネズミの糞と共に排泄されます。
ネズミの糞をナメクジが食べる
ネズミによって排泄された糞には広東住血線虫の幼虫が混じっていて、その糞をナメクジが食べます。
ネズミの糞を食べたナメクジは広東住血線虫の新しい宿主となります。
因みに広東住血線虫はナメクジと同様にカタツムリにも寄生します。
人間に寄生する事もある
広東住血線虫が人間に寄生した場合は成虫になる事は出来ないのですが、幼虫そのものが人間の害になります。
もし人間が何らかの形で幼虫を体内に取り入れてしまった場合、その幼虫は中枢神経から脊髄や脳の血管、髄液の中に寄生します。
そして広東住血線虫症を発症させます。
広東住血線虫症
広東住血線虫が寄生した部位では、出血と肉芽腫の形成を引き起こし、発熱、嘔吐、激しい頭痛、脳神経麻痺などの症状が現れます。
広東住血線虫が起こす一番危険な症状は好酸球性髄膜脳炎で、失明やてんかん、知能の遅れなどの後遺症を残すことがあるそうです。
広東住血線虫症は、感染してから約2週間潜伏期間があり、通常の場合は発症から2~4週間で自然治癒しますが、症状が酷い場合や広東住血線虫の数が多い場合には死亡するケースもあるとの事です。
広東住血線虫症にかからないようにするには?
広東住血線虫症の予防方法は、ナメクジを生で食べないことです。
ナメクジやナメクジを餌にしている動物(トカゲやカエルなど)を食べる時は必ず火を通しましょう。
また、サラダなど生で野菜を食べるときには、その野菜にナメクジが付着した可能性があるので、しっかりと水洗いをしましょう。
また、ナメクジの死骸から体液に混じって広東住血線虫が出てくるので、ナメクジの死骸には触らないようにしましょう。
農業的には明らかに害虫です!
その他、通常の害虫としての見地から考えていくと、ナメクジは紛れもない害虫という事になります。
ナメクジは植物食が多く、そのため農作物や家庭園芸の草花を食い荒らす害虫として駆除の対象になってしまいます。
軟らかい身体は、摩擦によって傷が付きやすいので、身体をネバネバの粘液が覆っています。
ナメクジは移動する時に、脚に相当する部分に大量の粘液を出し、それに乗っかるようにして歩きますので、その通り道には粘液の跡が残ります。
ですから、葉を食い荒らした犯人はすぐにわかってしまうというわけです。
カタツムリと行動はそっくりなのですが、同じことをしても、ナメクジの方が人間に憎まれて駆除の対象にされてしまうのです。
憎まれ、嫌われ、悪者にされてしまう、ちょっとかわいそうな存在ではありますね。
ナメクジの害のまとめ
ナメクジには害があるのかどうか、詳しく調べてきましたがいかがでしたでしょうか?
ナメクジは毒性を持つものや病原性細菌やウイルスなどの感染源となるものは見つかっていません。
ですがナメクジには、ナメクジに寄生する広東住血線虫という虫がいる場合があります。
この広東住血線虫は広東住血線虫症を発症させます。
広東住血線虫症を発症させないためには、ナメクジを生で食べたり、死骸に触ったりしないようにしなければなりません。
また、生で野菜を食べる時はナメクジが付着した可能性もあるので、しっかり水洗いをしましょう。
農業的には農作物を食い荒らす害虫扱いですが、カタツムリと同じことをしているのに嫌われるというかわいそうな一面もありますね。
(ライター まるお)