みなさんはブヨ(ブユ)という名前の昆虫をご存知でしょうか?
関東ではブヨ、関西ではブトと呼ばれることが多く、正式な名称は「ブユ」なんですが、この名前では呼ばれにくい昆虫のようです。
都市部では一般的に言ってあまり馴染みのない昆虫かもしれません。知らないという人も多いでしょう。
ただ、このブヨ、私たち人間のような哺乳類から血を吸う「衛生害虫」なんです。つまり蚊と同じですね。
今回はこのブヨについて、どの毒性なども含めて話してみたいと思います。
ブヨの吸血方法や毒性について
ブヨ蚊と同じ吸血する虫なんですが、姿形はハエや羽のある蟻に似ています。
成虫は約3mm〜5mmで羽があり、黒くてずんぐりした形をしています。
日本では全国各地に60種類くらい生息しているとされています。
3月から10月の間に多く見られ、小川・渓流のような、水がきれいな所に住んでいます。
ということで、水質が悪い都市部にはあまり見かけないのですね。
ブヨがいるかいないかで、そのあたりの水質の良し悪しがわかるという面もあるでしょう。
昼行性で集団で活動し、メスだけが吸血を行います。
ブヨに刺される人は、蚊のように小さいので気付かない人が多いようです。
蚊とブヨの吸血の方法ですが、蚊は管のようなくちばしの口吻(こうふん)というものを毛細血管に刺して血を吸いますが、
ブヨはアゴで皮膚に噛み付いて引き裂いて吸います。
ブヨが血を吸うときは対象の皮膚を裂きますが、麻酔のような毒を入れるので痛みを感じないんだそうです。
小さいくせに巧妙な手口ですね。
蚊・ヒル・ブヨなどの吸血する動物というのは、唾液の中に吸う血への「抗凝固物質」があるんだそうです。
血管の外に出た血は、血液中の液体成分の中の線維素(フィブリン)というものの働きから、血球が閉じ込められて凝固します。
ブヨのような吸血動物が血管から吸血するとき、血管の外に出た血液が凝固して個体に変化します。
吸血動物の唾液には、この凝固を防ぐ抗凝固物質が入っているのです。
たとえばヒルの唾液腺には「ヒルジン」という抗凝固物質が含まれています。
美味しそうに吸血しているヒルを引き剥がすと、傷口から出血が止まりにくいのですが、
これは、ヒルジンが傷口の周囲に浸透しているからなんですね。
ブヨが吸血を頻繁に行うときは朝か夕方の涼しい時間で、暑い日の昼ごろはあまり行いません。
とはいえ完全にしないということでもないので注意です。
メスのブヨのエサはもちろん人間の血液ということになります。
しかし、ブヨのメスは産卵時にだけ栄養をたくさん摂らなければならないので吸血をします。
ブヨのオス、産卵時でないときのメスは、普通は花の蜜等をエサにしているようです。
ブヨに刺されると大変なんです!
ブヨに刺された人によると、この虫に刺されるとかなり嫌な思いをするようです。
傷口が大きく膨れ上がり痛さ・かゆさがMAXとなり、生活にも支障をきたし…大変なことになります。
吸血された直後はかゆみを特に感じなくても、その翌日から場合によって患部が普通の2倍〜3倍ほど赤く膨れ、激しい痒みと疼痛、さらに発熱が1週間〜2週間くらい現れます。これを「ブユ刺咬症」「ブユ刺症」といいます。
腫れが1ヵ月以上もひかないこともあり、慢性状態になると完治するまでなんと数年にまで及ぶこともあるとか!
さらに怖いのは、ブヨは「集団で行動する」ということです。もしも多くのブヨに何箇所も刺されると、最悪のケースでは「アナフィラキシーショック」等により死に至る可能性もあるとか。
もしもブヨに複数刺されたら、必ず病院に行くようにしましょう。
水がきれいな地域ではブヨの対策をしましょう
最悪の吸血昆虫・ブヨの毒についてでした。
都市部にはあまり見かけないですが、水がきれいな地方などでは注意が必要ですよね。
ブヨに刺されることへの予防は、普通の虫除けスプレー効果が低いため、「ブユ専用」のスプレー、またはハッカ油の水溶液などが効果的です。
また、長袖・長ズボン・手甲・脚絆等を身につけて、肌を出させないことも当然有効です。
吸血されたら傷口から毒を抜き、ステロイド系の薬を塗りましょう。掻くと腫れが引かなくなり、治ってもシミになって残るので決して触らないようにしましょう。
でも、これが辛いんですよねえ。やるなといわれるとついやりたくなるという、あれですよね。
ライター:nabex