空気が澄み渡り、清らかなせせらぎが流れる自然豊かな場所でのハイキングやキャンプは楽しいですよね。
でもそのときに気をつけなければならないのが吸血昆虫の存在です。
吸血昆虫として有名なのは、アブ、蚊などですが、もっとも咬まれた後がやっかいなのは「ブヨ」だといわれています。
ここでは吸血昆虫のブヨとはどんな虫なのか、体の大きさなどの特徴や生態、吸血の仕方や毒性などについて調べていきます。
ブヨの体の大きさと特徴
ブヨとは、ハエや蚊など双翅目(羽が2枚)の仲間です。
正式名は、ブユ科に属している「ブユ」になります。関西方面ではブトと呼ぶところもあるそうです。
体の大きさは3~5mmで、小さめのハエや蚊と同じぐらいです。
見た目は、蚊は体が細長く、長い脚が目立ちますが、ブヨは丸い透明な羽をもち、どちらかというとハエに似ています。
吸血するのはメスのブヨ
ブヨは、見かけはハエに似ていますがハエとは違い、咬まれたら怖い吸血昆虫の仲間です。
普段は、オスもメスも花の蜜や果汁などを摂取して生息しています。
けれども産卵を控えたメスのみ、たんぱく質を補給するために哺乳類から吸血をするのです。
ブヨの生息域
日本全国に生息しており、冬期積雪時以外は一年中見られますが、活動が活発なのは3~9月です。
交尾を終えたメスは、水辺や流れが穏やかな水中に卵を産み付けます。
春になると孵化した幼虫は、そのまま水辺や水中に住み続けます。
ブヨの幼虫は、清らかな水を好み汚れた水の中では生きられません。
成虫も行動範囲が狭く、きれいな水のある周辺でのみ生息をしています。
ブヨは卵から孵化して成虫になる春から夏に活動が活発になりますが、夜行性ではないので夜は活動しません。
暑さを避けて朝夕の涼しい時間帯に活動し、曇りや雨の日なら一日中動き回ります。
ブヨの吸血方法
吸血昆虫のなかでもブヨと体の大きさが同じぐらいの蚊と比較して、ブヨの吸血の恐ろしさをまとめます。
近づき方
蚊の場合は、「ぶ~ん」と羽音をたてて飛ぶものが多いので、近くに飛んでいるということがわかります。
けれどもブヨの場合は、無音で近づいてくるので警戒することができません。
吸血方法
蚊の場合は、口吻(こうふん)と呼ばれる細い針のようなくちばしを相手の毛細血管に差し込んで直接吸血します。
ところがブヨの場合は、アゴで相手の皮膚に咬みついて食い破って吸血するのです。
なんともワイルドな吸血方法です。
さらにブヨは相手の皮膚に麻酔成分を含んだ唾液をだしてから咬みつくので、咬まれていることに気づくことができません。
さらに、咬まれた後も麻酔成分のため痛みやかゆみを感じるまで時間がかかります。
毒性
蚊の場合、病原体やウイルスをもっているものでなければ、その毒性は、血が固まらないようにする成分と痛みを感じさせない麻酔のような成分だけなどでかゆみのほかひどい症状がでることはほとんどありません。
一方、ブヨの唾液には麻酔成分の他に、ムカデやスズメバチももっているといわれる酵素毒が含まれているので、咬まれて唾液が浸透すると、患部が大きく腫れたり猛烈なかゆさや痛みにみまわれたりするのです。
ブヨ刺咬症
ブヨの毒には即効性がないので、症状が現れるのは早くて数時間後です。
猛烈なかゆみにおそわれ、赤く腫れてきます。
痛みや発熱などの全身症状がでることも多くあります。
また、かゆいからといって傷口をひっかくと、毒素が広がりリンパ管炎を併発したり、他のバイ菌が入りやすくなったりするので危険です。
ブヨに咬まれたときの症状はブヨ刺咬症と名付けられていますが、ひどい症状がでる前に早めにお医者さんに診てもらうようにしてください。
ブヨに咬まれたら?~すぐには冷やさない!
①毒を絞り出す!~咬まれた直後であれば、傷口を爪などで挟んで毒を絞り出してください。
市販されている『ポイズンリムーバー』など注射器のようなスポイトを使うのも有効です。
②冷やさず温める!~ブヨの毒は熱に弱い特性を持っています。
シャワーなど43度以上のお湯を30分かけ続けるとよいでしょう。
その後かゆみがでてもかきむしってはいけません。
③薬を塗る!~ブヨの酵素毒は、蚊とは成分が違うので通常の虫刺され用のかゆみ止めでは効果がないことがあります。
ステロイド剤が入ったかゆみ止めを使用します。
まとめ
ハチやアブなどと違い、体の大きさからたいしたことがないと思われがちのブヨですが、かなり凶悪な吸血昆虫だということがいえそうです。
水のきれいな川や湖のほとりでハイキングやキャンプなどを楽しむときには、十分に注意をするようにしましょう。
ブヨがいるということは、水がきれいな証拠といえるのですが、浄化の進んだ都市部の公園のせせらぎなどでも発生の事例があるので気をつけましょう。
(ライター sensyu-k)