ヤマアラシとハリネズミ、どちらも一見似ているように見えますが、実は全く違う生き物だって知っていましたか?
ヤマアラシの特徴と生態
ヤマアラシは2種類の大きな系統に分かれています。
一種類はユーラシアとアフリカに生息している地上性のヤマアラシ科の生物。
もう一種は南北アメリカに生息する樹上生のアメリカヤマアラシ科の生物。
どちらも似ている面はありますが、それぞれ独自の進化を遂げてきた生物なのです。
どちらの種類にも共通するのは体長が60~93㎝で体重が13~27kg、そして針毛と言われる、固く、鋭い進化した体毛。
ヤマアラシの天敵はライオンやハイエナ、ヒョウ等ですが、敵が現れると30㎝ほどある全身の針を逆立て、空洞になっている尾の針を振って音を出し、相手を威嚇し、同時に危険を仲間たちに合図するとも言われています。
針毛を逆立てたまま尾を振りながら後ずさりして相手に詰め寄ると、ライオンやヒョウなどでも時に逃げ出したり諦めたりすることがあり、これはかなりの防御力と言えるでしょう。
また、針毛は簡単に抜け、生え変わるので、相手に針を突き刺すことも可能で、ヤマアラシと戦った動物の体や顔にはあちこちに針毛が刺さっていることもあるのだとか。
針毛が原因で、感染症などを引き起こす可能性もあり、ヤマアラシは小さいながらなかなかな奴なんです。
弱点は毛の生えていない顔なのだとか。
夜行性で単独行動が多く、出産は一度に1~2頭と少なめ。
食性は果実や植物などで、寿命は12~15年。
飼育下では20年ほど生きるそうです。
ハリネズミの特徴と生態
ハリネズミはヨーロッパ、アフリカ、中近東、東アジアに生息していて、日本やニュージーランドには外来種として生息しています。
多くの種類が世界各国にいます。
哺乳類の中でもかなり古い時期から出現していた生物で、その古さはカンガルーやカモノハシに次ぐ古さなのだとか。
体長は15~20㎝、体重は300gほど。
食性は雑食で、木の根や果実の他にも昆虫を食べます。
針も短く、ヤマアラシのように攻撃に使うことはなく、ひたすら防御に徹します。
ヨーロッパハリネズミは敵が近づくと、ボールのような丸い塊になり、針を逆立ててじっと固まります。
針には「かえし」のようなものもついていて、一度刺さるとそう簡単には抜けません。
体全体にはおよそ5000本程の針(=硬くなった体毛)がついています。
生け垣の下などに生息し、どちらかというとネズミというよりもモグラの生態に似ているようです。
繁殖期は特に決まっておらず、妊娠期間は1か月ほどで、一度に2~5匹を出産します。
ハリネズミの寿命は野生下で2~3年、飼育下でも5~6年ほどです。
昔から食用として食べられたり、血や脂肪は民間療法の薬として使われていたようです。
日本ではその可愛らしいルックスから飼育している人も多いようです。
ハリネズミ専用のエサも売っていて、温度管理と脱水にさえすれば、比較的飼育しやすいよう。
「フンフン、ヒュンヒュン」と声をだしたり、びっくりしたときに丸まる姿が可愛いのだとか。
最近は輸入規制などがあり、手に入れるのが難しくなっているようです。
ヤマアラシとハリネズミの違いについてのまとめ
ヤマアラシはネズミの仲間でハリネズミはモグラの仲間。
どちらも体に毛が変化した硬い針のような体毛を持つ。
ヤマアラシは体長60~90㎝ほどだが、ハリネズミは手のひらサイズの15~20㎝。
ヤマアラシは草食、ハリネズミは雑食。
ヤマアラシの針毛は強力な武器として攻撃に使われるが、ハリネズミは敵が現れた時の防御にしか使わない。
飼育下において、ヤマアラシは20年ほど生きるのに対し、ハリネズミは5~6年ほど。
(ライター ナオ)