エンマコオロギは秋の夜長を彩る綺麗な声の虫?
それとも、その鳴き声は単なる騒音で、カマドウマみたいにぴょんぴょん跳ねる気持ち悪い虫?
人の感性は様々で、日本を代表する秋の虫も、最近では残念なことになっているようです。
エンマコオロギの生態
日本を代表するコオロギのひとつ、エンマコオロギは体長が26~32㎜。
昼間は草木の茂みや資材の陰に隠れていて、夜は徘徊してエサを探します。
雑食性で植物から小動物の死骸までなんでも食べます。
成虫は8~11月頃に出現し、鳴き声が聞こえるのもこの時期ということになるのですが、その鳴き声にも種類があるようです。
エンマコオロギのオスは前翅を立ててこすり合わせるようにして鳴くのですが、それぞれ縄張りを主張する時の本鳴き、メスが側に来た時のささやき鳴き、そして、オス同士が相手を威嚇する時に鳴く脅し鳴きなどがあるようです。
それぞれはっきりと鳴き方が違うのだから、そんなことに注意しながら耳を傾けるのも楽しいかもしれませんね。
エンマコオロギのメスは地面に産卵管を突き刺して卵を産みます。
卵はそのまま越冬し、翌年の5~6月頃に孵化。
幼虫も成虫と同じく雑食なので、なんでも食べて大きくなります。
不完全変態で、成虫期間は1~2か月ほどで寿命は1年です。
天敵はニホントカゲ、鳥類、カエル、カマキリ、寄生蜂などです。
エンマコオロギの名前の由来
エンマコオロギは正面から見ると、まるで閻魔様のような怖い顔をしています。
そんな怖い顔をしているのに、人を酔わせる綺麗な声で鳴くなんて…ギャップ萌え?
まあ、それは良いとして、そうなんです。名前は閻魔様に似ていることからついのだそうです。
エンマコオロギと人間の関係
エンマコオロギは古く枕草子の時代から日本人に馴染みの深い昆虫として取り上げられてきました。
その鳴き声はコロコロ~やヒヨヒヨヒヨ~といったもので、おそらく本鳴きにあたるものだと思われます。
秋の虫の声を聞くために水槽で飼育する人もいます。
つまようじでキュウリなどをさしたものをエサにして、秋の夜長を楽しむ―――そんな風流な習慣は今はもうなくなってしまっているのでしょうか。
また、エンマコオロギの粉は20世紀後半になるまでは民間療法の薬としても使われていたのだそう。
エンマコオロギの鳴き方
コオロギたちの鳴き方は実は温度と深い関係があったってご存知でしたか?
夏の暑い時期には夜に鳴き、曇りの日や涼しい時期になると一日中鳴き、寒くなると日中だけ鳴くコオロギ。
コオロギの鳴き方によって、気温が割り出せるのだとか‥‥!?
その計算方法は15秒に何回コオロギが鳴いているかを数え、その回数に8を足して、5をかけて、9で割るのだそう。
興味のある方は是非試してみてください。
騒音になるエンマコオロギの鳴き声
世の中には風流だとか言ってられねえ~~という方もいらっしゃるようで。
エンマコオロギたちのさえずりが騒音にしか聞こえない人にとっては、憂鬱な秋の夜長になってしまいます。
長い脚でピョンピョンと跳ねる様子も気持ち悪いと感じてしまえば、とことん気持ち悪い。
そうなるともう害虫でしかありません。
実際にコオロギ駆除の方法はネットを検索すればいくらでも出てくるのが現実です。
エンマコオロギのまとめ
エンマコオロギの鳴き声は日本を代表する秋の虫の声だが、中には騒音に感じる人もいる。
エンマコオロギの鳴き方にはいくつか種類があり、場面によって使い分けている。
エンマコオロギの鳴き方は湿度と関係があるらしく、方程式によって湿度が割り出せる!?
エンマコオロギはかつて民間療法の薬として使われていたこともあった。
(ライター ナオ)