大きなチョウは綺麗だけど、大きなガは恐ろしい…この違いは何なのでしょうね?
今回はガの中でも一際大きな「ヤママユガ」についてまとめてみました。
その大きさは蛾の中でもトップクラス!
一体どのくらい大きいのか、どんな生態なのか、毒はあるのか…気になるポイントが盛りだくさんです。
ヤママユガってどんな蛾?
ヤママユガは全国に分布している蛾で、特徴は何と言ってもその大きさ。
翅を広げた大きさは15cm以上になることもあり、普通の人の手のひらよりも大きいのです。
こんな巨大な蛾が飛んで来たら、虫嫌いでもそうじゃなくても、ビックリして叫んでしまうかもしれません。
翅の色は肌色や褐色で、それぞれの翅に一つずつ目玉模様があります。
成虫の大きさから想像できる通り、ヤママユガの幼虫もかなり巨大。
5cm~10cmという、虫嫌いからすれば化け物級の大きさなのです。
苦手な人にとっては鳥肌ものですね…。
幼虫はクヌギ、コナラなどのブナ科の植物の葉を餌としています。
しかし、成虫になると口は退化し、一切の食べ物をくちにすることなく1週間~2週間ほどでその生涯に幕を下ろすのです。
幼虫時代に貯めた栄養だけがエネルギーですから、かなり寿命が短いのも納得ですね。
成虫になった短い間に子孫を残すために生きているので、もしヤママユガの成虫を見つけても、捕まえたりせずにそっとしておいてあげてください。
成虫は何となく怖い見た目をしているし、幼虫には少し毛があるから、もしかしたら毒があるのでは?と心配になる人もいるでしょう。
しかし安心してください。
国内に生息しているヤママユガに毒はありません。
幼虫だろうと成虫だろうと無毒なので、気にせずに触っても大丈夫。
しかし、ベネズレラに生息する「ベネズエラヤママユガ」は例外です。
この幼虫は非常に強い毒を持っており、場合によっては死に至ることも。
その毒性の強さはマムシやガラガラヘビに匹敵するほどと言われています。
まあまず一生のうちにこいつに出会うことは無いと思いますが、もしベネズエラに行く機会があったら気を付けてくださいね。
見た目はカラフルな色(個体により様々)で、体中硬そうな毛だらけなので、見ただけで「コイツ危険だな」ってのは分かると思います。
超高級!ヤママユガの絹
成虫の見た目はこの上なく気持ち悪いですが、害虫ではなく益虫なのでむやみに退治してはいけません。
実はヤママユガから採れる絹糸(天蚕)は超高級品で、古くから野蚕として利用されてきました。
ヤママユガの絹が高級品と言われるのにはいくつかの理由があります。
その理由の一つは品質の高さ。
通常の絹に比べて軽い上に柔らかく、萌黄色をした独特の光沢があります。
そして二つ目の理由が飼育の難しさ。
完全に家畜化されているカイコガとは違い、「野蚕」と呼ばれるいわば「放し飼い」のような形で飼育されるため、大量生産というのが難しいのです。
さらに、一つの繭から採れる糸がカイコガでは1400m程なのに対し、ヤママユガは600~700mほどと半分以下。
これらの理由からとても希少価値が高く、超高級品として扱われているのです。
私は虫はあまり好きではありませんが、絹の手触りは大好きです。
初めて絹が虫から採れた糸を使って作っていると知った時は、「気持ち悪い!」と思ってしまいましたが、今は平気。
と言うかむしろ「天蚕糸」の絹を触ってみたいとすら思います。
ヤママユガについてのまとめ
ヤママユガは夜の灯りに飛んでくることもあり、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
あんな巨大な蛾が網戸にひっついていたり、自分の近くの灯りめがけて飛んで来たらかなりの恐怖ですよね。
しかしそんなヤママユガも、すぐに死んでしまうんだということを知っていれば、むやみに邪険に扱えなくなりませんか?
(ライター もんぷち)