ベネズエラヤママユガは知る人ぞ知る、超危険生物です。
そのあまりの危険性に、一部では“最強の節足動物”と呼ばれているほど。
ベネズエラヤママユガの生態
ベネズエラヤママユガはその名のとおり、ベネズエラを中心とした中南米の熱帯雨林に生息しており、チョウ目ヤママユガ科に属します。
ベネズエラヤママユガの幼虫は非常に強い毒を持っているため、現地の人々の間ではとても恐れられています。
ベネズエラヤママユガの幼虫って、どんな姿?
強力な毒を持つ生き物の多くが、派手で奇抜な、まさに“毒々しい”外見をしているように、ベネズエラヤママユガの幼虫も非常に特徴的な外見をしています。
ベネズエラヤママユガの幼虫は4.5~5.5cmほどの大きさで、大小さまざまな長さの刺に全身を覆われています。
その様はまさに“全身凶器”。
さらに、周囲の環境に合わせて緑色から茶色まで体色を変化させることができるという恐ろしい性質まで備えています。
周囲の環境に溶け込み、強力な毒で人を死に至らしめる……。
「暗殺毛虫」とは言い得て妙です。
その様はまさに“全身凶器”。
さらに、周囲の環境に合わせて緑色から茶色まで体色を変化させることができるという恐ろしい性質まで備えています。
周囲の環境に溶け込み、強力な毒で人を死に至らしめる……。
「暗殺毛虫」とは言い得て妙です。
ベネズエラヤママユガの幼虫の毒の強さ
ベネズエラヤママユガの幼虫は別名「アサシン・キャタピラ」と呼ばれています。
日本語に訳すならば「暗殺毛虫」といったところでしょうか。
この呼称は決して大げさなものではありません。
ベネズエラヤママユガの幼虫は、マムシやガラガラヘビの毒と同質の出血毒を持っています。
刺されることで傷口から激しく出血しますが、それだけでなく内蔵や脳内にも同じような出血を引き起こします。
それに加えて、ベネズエラヤママユガの幼虫の持つ出血毒は抗凝血性を備えているので、出血がなかなか止まらないという、とても恐ろしい特徴があります。
ベネズエラヤママユガの幼虫に刺されると、腎臓に大きなダメージを受け、最終的には腎不全を起こして死に至ることもあります
その毒性の強さは、節足動物の中でも最強だと言われています。
ベネズエラヤママユガの幼虫は「暗殺毛虫」の名にふさわしい、恐ろしい毒の持ち主なのです。
ベネズエラヤママユガの成虫の姿は?
ベネズエラヤママユガの成虫は、幼虫と比べて非常に地味な外見をしています。
全身茶色一色で、翅を広げて休む姿はほとんど木の葉のようです。
それもそのはず、ベネズエラヤママユガの幼虫は強力な毒の危険性をケバケバしい外見でアピールすることで外敵から身を守りますが、毒を持たない成虫は木の葉に擬態してその姿を隠すことで、鳥やトカゲなどの外敵から身を守っているのです。
ベネズエラヤママユガの人間との関わり
先に説明したとおり、ベネズエラヤママユガは中南米の熱帯雨林に生息している生き物です
本来ならば、ジャングルの奥地に生息するベネズエラヤママユガが人間に被害を及ぼす機会はほとんどないはずですが、近年の森林伐採などによって環境の破壊が進み、その生息地は人々が暮らす地域の周辺にまで広がりつつあります。
ベネズエラヤママユガの幼虫は普段、樹木の皮の裏などに身を隠してい
そうした樹木に知らずに寄りかかったときに、ベネズエラヤママユガの幼虫に刺されてしまうことが多いそうです。
ブラジルのある町でベネズエラヤママユガが大量に発生したときには、幼虫に刺されて死亡者が出たと報告されました。
血清が作られた今でこそ、死に至るようなことは少なくなりましたが、今までに少なくとも500人以上がベネズエラヤママユガの幼虫に刺されて死亡していると言われています。
ベネズエラヤママユガは日本には生息していません。
しかし国際化が進んだ現代、外国の危険生物が日本に輸入されることも有り得ない話ではないのです。
現に、獰猛なカミツキガメや猛毒を持つセアカゴケグモなどの外来生物が、日本の生態系を脅かしつつあります。
わたしたちの知らぬ間に、危険生物の脅威はすぐ近くまで忍び寄っています。
見慣れない生き物には、不用意に近づかないようにしましょう。
(ライター:國谷正明)