ヨナグニサンは、かの有名な巨大怪獣「モスラ」のモデルにもなった巨大な蛾の仲間です。
モスラは知っているけれどヨナグニサンのことはよく知らない……というあなたの為に、ヨナグニサンのあれこれをご紹介していきます。
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ヨナグニサンって?
ヨナグニサンはチョウ目ヤママユガ科に属する蛾の一種です。
モスラのモデルとなったことからも分かるように、世界最大の蛾として広く知られ、沖縄県の天然記念物に指定されています。
ヨナグニサンが翅を広げたときの大きさは、成人男性の手のひらを軽く超えるほど巨大です。
ヨナグニサンの生態
ヨナグニサンとは漢字で「与那国蚕」と表します。
その名のとおり、与那国島を含む沖縄県八重山諸島の森林地帯に分布しています。
ヨナグニサンはマレー半島や中国にも分布していますが、それらの亜種は「マレーヨナグニサン」とも呼ばれ、与那国島に生息するものよりも若干小さいという違いがあります。
多くのヤママユガ科の蛾の仲間と同じように、羽化した後は食事を一切摂取せず、幼虫時代に蓄えた栄養分を消費することで生き延びるため、成虫の寿命はおよそ一週間前後とかなり短命です。
また、ヨナグニサンは体があまりに大きいため、着地に失敗してしまうと二度と飛び上がれなくなってしまうそうです。
ヨナグニサンに限らず、往々にして大きな生き物ほど生息する個体数が少ない傾向にあります。
天敵の目に付きやすいということ以外にも、わたしたちが知らない様々な苦労があるようです……。
ヨナグニサンの成虫の姿
前述したように、ヨナグニサンの成虫は体に似合わない巨大な翅を持っており、その大きな翅にはまるでペルシャ絨毯のような複雑な模様が描かれています。
さらに翅の上部先端には、蛇の顔を模したかのような模様も見られます。
鳥などの天敵から身を守るための擬態の一種だと言われていますが、詳しいことは解明されてないそうです。
ヨナグニサンの幼虫の姿
ヨナグニサンは幼虫時代の姿もなかなかに特徴的です。
全身を触手のような太くて白っぽい棘で覆っており、その姿はまるでウミウシのようにも見えます。
幼虫は脱皮を繰り返す毎に棘が長く伸びていきますが、ある程度の大きさに達すると、今度は徐々に棘が退化して成虫になる準備を始めます。
ヨナグニサンの幼虫の全長は最終的に10cmにも達し、羽化する前から既に世界最大の蛾に相応しい貫禄を備えています。
ヨナグニサンと人間との関わり
ヨナグニサンはその巨大さと美しさから、ペットとしても高い人気を誇っています。
日本に生息するヨナグニサンは天然記念物に指定されているため、捕獲及び飼育が禁止されていますが、外国で捕獲されたヨナグニサンがペットとして出回ることも少なくありません。
インドでは、絹糸を採る目的でヨナグニサンを飼育されており、実際に土産店などでヨナグニサンの糸を原料とした製品を購入することもできます。
また、ヨナグニサンは与那国島の方言で「アヤミハビル」と呼ばれて親しまれています。
アヤミは「模様のある」、ハビルは「蝶」を意味し、アヤミハビルで「模様のある蝶」という意味を持ちます。
与那国島には「アヤミハビル館」という施設があり、ヨナグニサンに関する資料をはじめ、与那国島の自然に関する様々な資料を見ることができます。
アヤミハビル館には、ヨナグニサンの標本が飾られている他、実際にヨナグニサンを飼育がされているため、夏になると羽化した成虫の姿を見ることができます。
生きているヨナグニサンを目にする機会は滅多にありません。
八重山諸島を訪れる機会がありましたら、ぜひアヤミハビル館まで足を運んでみては如何でしょうか。
(ライター:國谷正明)
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