最近動物園のふれあいスペースなどで人気と知名度を上げているカピバラはペットとしても人間から愛されている動物です。
一方ヌートリアという動物をご存知でしょうか。
住んでいる地域によっては馴染みのある動物かもしれませんが、カピバラと比べるとやはり一般的な知名度は落ちる動物です。
実はこの両者は見た目がすごく似ているのですが、社会的には全く対応が異なります。
そこでヌートリアとカピバラの違いや、人間社会における扱いの違いと関りについてなどをまとめました。
ヌートリアってどんな動物?
ヌートリアは外観がカピバラに似ている哺乳類ですが、体長はだいたいその半分ほどしかありません。
また、もともとは日本に生息していなかった外来種で、南アメリカなどに野生で生息していました。
彼らが日本にやってきたのには、毛皮の安価な入手のために大量に輸入されてきたという由来があります。
ヌートリアの毛皮は丈夫で質が良いため1940年代から1950年代に飼育され始めますが、毛皮ブームが去ると急激な需要の減少とヌートリアの増加が釣り合わなくなり、手に余るようになります。
そして飼育しきれなかったヌートリアたちは野外へと生息の領域を広げ、野生のヌートリアも大量に繁殖することとなったのです。
しかしマズいことに、ヌートリアは葉野菜等が好物であるため人間にとって害のある存在になってしまったのです。
さらに直接食物の害となるだけでなく、ヌートリアの生態上穴を掘ることがあるのですが、このことによって水田の堤防が崩れてしまうといった問題も発生してきたのです。
カピバラの特徴とヌートリアのとの違い
一方でカピバラは癒し系として人間に好かれていますが、生態としては似ている点も多いです。
まず暖かい気候を好み寒さに弱いというところ、水辺に生活し活動範囲として水中でもよく活動をするところ、さらにヌートリアもカピバラも数分間潜水ができます。
ここまで生態や見た目が良く似たもの同士ですが相違点に挙げられるのは、まず先ほども述べたように大きさです。
ヌートリアの体長は約50㎝であるのに対してカピバラは100㎝ほどにまで成長します。
またヌートリアの生活スタイルは基本的に一匹か二匹程度で行動し、川の近くの土手などに穴を掘って自身の縄張りを持ちますが、カピバラは群れで過ごします。
そのため危険時には群れで集まり一か所に固まることで身を守ることもあります。
また、見た目にも決定的な違いがあり、ヌートリアは前歯がオレンジ色をしているのです。
これがヌートリアの大きなチャームポイントでもあります。さらにヌートリアはネズミのような長い尻尾が付いていますがカピバラにはありません。
これらの点を押さえておけば両者を見間違うことはないでしょう。
どこの動物園にいる?
カピバラは人気者なので最近では色んな数多くの動物園で見ることができます。
例えば旭日山動物園や長崎バイオパークなどは有名です。
冬になるとカピバラには気温が低すぎる地域があり、一時的に展示しなくなる動物園も多いですが、カピバラのための温泉のようなスペースが設置され、入浴中のリラックスしているカピバラを見ることが出来る動物園もあります。
ヌートリアに関しては野生でも川沿いなどの水のあるところで見かけることはありますが、飼育されているヌートリアを見られる場所として天王寺動物園が有名です。
ヌートリアとカピバラ
両者ともに異なる特徴はあるものの生態や見た目は似ています。
それにも関わらず人気者癒し系と呼ばれるカピバラと害獣でやっかいもの扱いのヌートリアといった具合に評価が両極端に分かれます。
その理由にはそれぞれの好む食料の違いなどがありますが、原因の一つは大量輸入しすぎた人間の行為にあるため、場合によっては両者の立場は逆になっていたかもしれないのです。