トンボと言えば日本の秋を象徴する昆虫。
子供の頃に覚える童謡でもおなじみです。
そんなトンボを飼育したいと思ったことはありませんか?
卵からヤゴ、そして成虫のトンボへ不完全変態を遂げる、その様子をじっくりと観察することが出来るんです。
トンボの生態
トンボは世界中に5000種類、日本だけでも200種類が存在する、原始的な昆虫のひとつ。
原始の証拠に、蝉やコガネムシなどその他の昆虫のように、翅をそろえて閉じることが出来ません。
止まっている時も開いた状態か、4枚の翅をぱたんと閉じた状態。翅をしまうという機能がついていないんです。
卵は水中に産み、終齢幼虫まではヤゴとして水中に生息。エラ呼吸をして、水中のミジンコやボウフラなどを食べています。
終齢が近づくと近くの植物などに上り、夜に羽化してトンボとして飛び立っていきます。
ヤゴの時は田んぼの害虫を、トンボになってからも蚊などの厄介な存在を捕食するため、益虫として扱われることが多いのですが、ごくまれに、クワやコウゾなどの植物に卵を産み付け、養蚕農家さんたちにとっては忌み嫌う害虫になることもあります。
トンボの交尾は、ちょっと珍しい形で行われます。
植物の茎に止まっているハートの形をした2匹を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
トンボの生殖器は雌雄共々腹部の後端についています。しかし、オスはここから精子を出して受精するのではなく、一旦腹部前端にある精子嚢に精子を保管。
生殖孔である後端部分はメスを抑えておくために使われるのです。
首根っこをオスの生殖孔で抑えられたメスは自分の腹部後端についている生殖孔をオスの腹部に押し当てます。
そこで貯めてあった精子を受け取り、受精するというわけです。
そして、この時の形がちょうどつがいのトンボが仲良くハート型になっているのです。
トンボを飼おう
トンボを飼うのにはまず、どの段階から飼うかが重要です。
水中からトンボの卵を見つけ出すのは至難の業なので、羽化の様子を見たかったら、川でヤゴを見つけてくるのが先決です。
ヤゴの特徴としては、6本の脚と体の背面に翅芽(しが)という器官と腹腔中に下唇鰓(かしんさい)がついています。
ヤゴの状態でトンボの種類を見分けることも出来ますが、羽化させてからどんなトンボになるのかを楽しむのも飼育の醍醐味かもしれません。
幼虫のうちのエサはミジンコやボウフラで、大きな種類のギンヤンマやオニヤンマのヤゴでない限り、ミジンコだけでトンボにまで成長します。
ミジンコは川底などに網を入れて、ひとすくいすれば沢山網に入ってきます。流れのない、水たまりや池のような場所がよりたくさんのミジンコを捕ることが出来ます。
それを川砂利を敷いた大き目の水槽に入れておけば、いつの間にかどんどん増えていますよ。
もし、それができない場合はブラインシュリンプの卵を孵化させて与えるのも良いでしょう。
羽化の観察を目的とするのなら、一匹一匹違う透明の瓶などで飼うのが良いでしょう。
水を入れ、一本、茎上の植物を瓶に斜めに刺しておきます。
その瓶をさらに水を張ったバットなどの上にのせておくと、乾燥が防げて、羽化が成功しやすいのだとか。
最終幼齢を終えたヤゴはその植物に登って羽化し、トンボになります。
この時に逃げてしまっては残念なので、大きな蚊帳のようなものの中で飼育すると、トンボになってからもしばらくは飼育を続けられます。
トンボになってからのエサは蚊。
サバ虫の幼虫などをペットショップで買ってきて孵化させても良いでしょう。
とにかく生きて、動いている昆虫を食べますので、その準備と、あとは綺麗な水を用意しておきましょう。
トンボの飼い方のまとめ
多くのトンボは成虫になってからの寿命が1~2か月。
その間、しっかりとエサを与えられる人だけが飼う権利のある人!?水とエサを切らさないで、命を大切に。
(ライター ナオ)