ヤシガニという巨大なヤドカリを知っていますか?

まるでカニのような爪を持っていますがカニにあらず、巨大な巨大なヤドカリなんです。

陸上節足動物の最大種のヤシガニ

ヤシガニは日本では沖縄の宮古島や八重山諸島に生息しています。

陸上節足動物では最大の大きさを誇り、オスでは40㎝、脚を広げると1mほどの大きさにもなります。

世界では4kgを超えるヤシガニもいるのだそう。

ヤシガニはヤシを落とす?

ヤシガニの名前の由来は「ヤシの木に登ってヤシの実を落として食す」というところから付けられたという説がありますが、実はこれは都市伝説のようなもの。

実際に実を落とすような行動を日常的に行っているわけではないようです。

 

ヤシガニの食性は雑食。

もちろんヤシの実を食すこともあるようですが、腐食した死骸を食べたりもするので、わざわざヤシの実だけを狙って落とすということはないようです。

ヤシガニの生態

ヤシガニの体表の色は生息域による食性の違いから、明るい紫色から茶色まで多様です。

オスの方がメスよりも大きく、頭胸部と腹部に分かれた体には10本の脚がついています。

 

2本の前足は大きく強力なハサミになっていて、次の3対は小さめで陸上歩行にも向くようになっています。

最後の1対はエラの掃除のために使われるので、普段は隠れていて、外部からは見えません。

 

エラに水分をため込むことによって呼吸し、湿度の高いところが大好きです。

腹部は硬い物質になっているので蒸散を防ぐことができますが、何度も脱皮を繰り返すので、固くなるまでの間は水分の豊富な場所に身を隠していたりもします。

 

基本的に夜行性で、日中は岩の割れ目などにいますが、雨や霧の時には日中にも関わらずでてくることもあります。

5~9月にかけてが繁殖期でメスは自分の腹部の裏側に卵を産みます。数か月卵を抱えた後、10~11月頃になると波打ち際に移動し、お腹の孵化した幼虫を一斉に海に放出します。

 

一ヵ月ほど浮遊しなければならない幼虫のほとんどは捕食されてしまいますが、運よく生き残って陸上に戻ってきた幼虫は、、まず自分の貝殻を探します。

甲長が1㎝になるまではヤドカリと同じように貝を背負って生活し、この時にカタツムリの殻を利用するものもいるようです。

性成熟するまでに4~8年という歳月を必要とするのは甲殻類としては長い方で。寿命は50年というのだから、驚きです。

ヤシガニのハサミはライオン並み!?

ヤシガニの前一対のハサミは大きく、自分の体重の90倍もの力で挟むことが出来るのだとか。

体重4kgクラスのヤシガニなら、挟む力はライオンの噛む力に匹敵するほどだそう・・・・・

ライオンの噛む力!!??と一瞬耳を疑いたくなるような話ですが、まぎれもない事実のようです。

ヤシガニは美味しい!?

ヤシガニは太平洋の島々では高級食材として扱われています。特にメスの腹に抱えた卵や腹部の脂肪部分などは重宝されるようです。

宮古島では夏にヤシガニをゆでて食べることが日常的に行われているそうで、ヤシガニ蕎麦などのメニューもあります。

 

しかし、ヤシガニの食性によっては毒をもつものもあり、素人が野生のヤシガニを調理して食べるのには注意が必要です。

ハスノハギリという植物の実にある毒が、その実を食べたヤシガニの毒となり、実際に宮古島などでも中毒者が出ているという報告があります。

他にも、死骸や生ごみを食すためウィルスや病原菌などを媒介する可能性もあり、自ら調理するのは避けた方が良さそうです。

ペットとしてのヤシガニ

ヤシガニのハサミが強く、巨大になるまでの間はペットとして可愛がる人もいるそうですが、脱皮の時に適切な環境を整えてあげることが難しかったり、脱走癖があったりとなかなか難しいよう。

また、長生きなので、しっかりと飼おうと思っている方は相当な覚悟が必要です。

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