「スベスベマンジュウガニ」というカニがいるのをご存知ですか?
かわいいけど、ふざけた名前だね~、アニメかゲームに出てくるキャラクターか~などと思ってしまいますが、実在するカニなんです。
以前、NHKの『みんなのうた』で、ポケモンシリーズの音楽全般を担当している、たなかひろかず氏が作編曲し、イマクニ?が歌っている『恋のスベスベマンジュウガニ』という曲が流れていたので、なんとなく耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
スベスベマンジュウガニとはどんなカニ?
甲羅の長さは3.5cm、幅は5cmほどの小さなカニですが、有毒種として知られています。
生息地はインド洋から西太平洋の暖かい海辺の岩場で、日本でも関東地方から沖縄県にかけての太平洋岸の岩場やサンゴ礁の浅瀬でごく普通に見られるカニです。
あまりすばしっこくないので磯遊びなどをしているときに見かけることもよくあります。
名前のとおり甲羅が丸みを帯びてすべすべ滑らかなのが特徴で、赤茶っぽい色に白っぽい色のまだら模様があり、通常のカニと同じく海藻、貝類、ゴカイなどを食べて生きています。
スベスベマンジュウガニの名前の由来
スベスベマンジュウガニは、エビ目・カニ下目・オウギガニ科・マンジュウガニ属 に分類されます。
なぜ、こんなふざけた(?)名前がついたのでしょうか?
スベスベマンジュウガニは、オウギガニ科のマンジュウガニ属の一種で、他にアカマンジュウガニ、ホシマンジュウガニなどがいます。
この饅頭(まんじゅう)のように丸みを帯びたカニの仲間で、さらに甲羅が「すべすべ」だから、スベスベマンジュウガニと名付けられたのでしょう。
他にも、「スベスベ」が名前についた生き物がいます。
例えば、スベスベオウギガニ、スベスベサンゴヤドカリなどです。
これらの生き物も、体のどこかが「すべすべ」なのではないかと思われます。
ちなみに、スベスベマンジュウガニへのオマージュか、スベスベマンジュウダニもいるそうです。
スベスベマンジュウガニは決して食べてはいけない!
表面がすべすべに輝いていて、丸くておまんじゅうのようなカニ、どんな味がするのでしょうか、とてもおいしそうですね。
けれども、スベスベマンジュウガニは決して口にしてはいけません。
スベスベマンジュウガニは、名前や姿のコケティッシュ感とは反対に、フグ毒や貝毒の成分を含んでいるので、かなり危険な生き物なのです。
名前につられて決して食べてはいけません!
スベスベマンジュウガニの毒とは?
スベスベマンジュウガニの毒は、生息地によって成分の構成比、毒量が大きく異なっており、分布北限近く関東沿岸のカニはフグ毒が主成分で、沖縄などの亜熱帯のものは、麻痺性貝毒を主成分とするとの報告があります。
これらの毒は基本的には、カニが食べる餌の違いによると考えられています。餌にする生物が異なることが毒の成分や量の違いの原因になるのです。
海辺で実際見てみると、体が小さくおいしそうに見えないせいか食べようとする人が少なく、大きな事故になることはあまりないようですが、致死量の毒を持つ個体もいるので注意が必要です。
一方、スベスベマンジュウガニの毒は体内に存在するだけなので、食べなければ触って遊んだりしても大丈夫です。
スベスベマンジュウガニは静かに笑う
スベスベマンジュウガニの毒について、現在徐々に知名度をあげてきている名古屋出身のバンド、THE BOY MEETS GIRLSの楽曲、『スベスベマンジュウガニは静かに笑う』でも歌われています。
“~~ カニ食べ放題ツアーに参加したツアー客の行方が分からなくなったようです。 ~~ スベスベマンジュウガニ 食べたら 僕ポクポクポックリ ~~”
歌詞が面白くノリやすい曲調で、聴き終わった後もついつい鼻歌にでてきそうです。
ぜひお聴きになってみてください。
スベスベマンジュウガニ まとめ
落語のお題目の一つに『饅頭こわい』があります。
こちらのおまんじゅうは、食べすぎに注意しなければいけないぐらいですが、スベスベマンジュウガニのほうは、有毒です!危険です!親しみを感じる名前、おいしそうな名前だからといって、絶対に食べてはいけません。
磯遊びを楽しむときなどは、十分に注意をしてください!!
(ライター sensyu-k)