身近で見かける野生動物と言えば、タヌキやイタチが一般的ですよね。
しかし現代社会ではよっぽどの田舎でない限り、あまり生きている姿を拝めなくなってしまいました。
(たまに、車に轢かれちゃってるのは見かけますが…)
そんな身近な動物たちの中でも、その数を減らし続け、準絶滅危惧種に指定されている動物がいます。
それが「テン」というイタチの仲間。
最近の若い人は、どんな生き物なのかよく知らない人も多いのではないでしょうか?
今回はそんなテンの中から、「ホンドテン」について紹介していきたいと思います。
ホンドテンってどんな生き物?
ホンドテンは元々本州・四国・九州に生息している動物です。
現在では人為的に移入されたホンドテンが、北海道や佐渡島で野生化もしています。
体長は約40cm~55cmで体重は1~1.5kgほどであり、スリムで細長い体型はイタチにそっくりですね。
毛色は個体によって黄色や褐色など様々で、体が黄色いものは「キテン」、褐色のものは「スステン」と呼ばれたりもします。
顔は白いので、顔だけ見るとイタチ、体だけ見るとキツネって感じがしますね。
夏には毛が生え変わり、全体的に栗色になるので本当にイタチそっくりです。
そしてホンドテンはとにかく毛がふっさふさ。
毛皮は最高級品として扱われていることからもわかるように、そのふさふさ具合は折り紙付きです。
「テン獲りは二人で行くな」という言葉があるのを知っていますか?
テンの毛皮はとても高く売れるので、二人で狩りに行くと獲ったテンを独り占めするために、一方がもう一方を殺しかねない、という諺です。
ホンドテンの毛皮も、マフラーで3万円前後とかなりの高級品。
これがコートなどになってくるとウン十万になります。
一度でいいから、本物のホンドテンのふさふさを生で体験してみたい。
主に山や森林を生息地にしていますが、稀に民家の近くにも姿を現すようです。
特に活動時間は定まっておらず、昼でも夜でも活動しているので、もしかしたら遭遇することがあるかもしれませんね。
ホンドテンによる被害
見た目のかわいさについ忘れてしまいがちですが、実はホンドテンは害獣なんです。
国の天然記念物であるトキが、テンに襲われて死亡したという事件を知っていますか?
保護センターにいた10羽のトキのうち、なんと9羽が死亡、1羽が怪我をするという大惨事が起こったのです。
ホンドテンは肉食傾向が強いので、このように家畜など(主に鶏)を襲うことがあるのです。
また、民家の天井裏や床下に住み着くこともあり、一度住み着いてしまうと家や人に大きな被害を与えます。
家にかわいいホンドテンが住み着いてくれるなんて嬉しいという人も中にはいるかもしれませんが、甘いです。
まず天井裏に住み着いてしまった場合には、夜中にガタガタと走り回る音がして寝られない、幼獣の鳴き声がしてうるさいなど騒音問題となります。
また、所かまわず排泄をするので、天井にシミができることもありますし、何よりクサイ。
肉食傾向が強いので、木の実などを食べる動物に比べて格段に糞の臭いが強いのです…。
そして極めつけはダニやノミの被害。
野生動物にはまず間違いなくダニやノミが付いていますから、特に天井裏に住み着いてしまった場合には家の中にダニやノミが入り込み、刺されてしまったりアレルギーを起こしたりします。
ホンドテンはただ見ているだけなら可愛いですが、このように様々な被害をもたらすのです。
家の近くで見かけたら、嬉しいと喜んでいる場合じゃないですね。
ホンドテン まとめ
野生のホンドテンは数が減少してしまっているので、普通にそこらへんで見かけることは少ないでしょう。
しかし、国内の多くの動物園で飼育がされているので、実際にホンドテンを見てみたいという人は訪ねてみてください。
(ライター名 もんぷち)