最大20メートルのマッコウクジラと、最大18メートルのダイオウイカ。
どちらも深海に棲む巨大な生物ですが、両者が戦った場合、はたしてどちらが勝つのでしょうか?
マッコウクジラの生態
マッコウクジラは、偶蹄目マッコウクジラ科マッコウクジラ属に分類されるクジラ類です。
抹香鯨と書きます。
ハクジラ類のなかでもっとも大きく、歯のある動物では世界最大です。
北極から南極まで世界規模で分布しています。
日本では小笠原諸島近海にメスと子供の群れが定住しており、知床半島近海ではオスが見られます。
マッコウクジラの大きさ
マッコウクジラは、クジラ類のなかでもっとも大きな性差があります。
オスの体長はおよそ16メートルから18メートルで、メスの12メートルから14メートルと比べて30%から50%も大きくなっています。
成長したオスには体長が20メートルを越えるものもいます。
また、体重はオス50トンに対してメスは25トンと、ほぼ2倍の差異があります。
ちなみに、産まれたときの大きさはほとんど変わりません。
オス・メスともに体長4メートル、体重1トン程度で産まれます。
マッコウクジラの食性
マッコウクジラの主な食性は、ヤリイカやダイオウイカなどのイカ類です。
スケソウダラやメヌケ、フリソデウオ科やツノザメ科のような大型の深海魚類も食べます。
マッコウクジラの食事量は、年間で9000万トンから2億2800万トンと推計されています。
このうち95%がイカとすれば、およそ8000万トンから2億トンのイカがマッコウクジラに食べられていることになります。
なんだか実感のわかない数字ですが、全世界の年間漁獲量の30倍から66倍に相当するといえばイメージできるでしょうか。
とんでもないですね。
ただ、マッコウクジラが食べるイカは、おもに中深層に生息するクラゲイカであると考えられています。
人間はそれらの大型イカを食べませんので、マッコウクジラと食料を奪いあっているということはないようです。
ダイオウイカの大きさ‧生態
ダイオウイカは、開眼目ダイオウイカ科に分類される、巨大なイカです。
日本で発見されたダイオウイカは外套長が1.8メートル、触腕を含めると6.5メートルにも達します。
ヨーロッパで発見されたものだと、体長18メートルを超えます。
ダイオウイカは、ダイオウホウズキイカとともに、世界最大級の無脊椎動物であり、最大級の頭足類です。
ダイオウイカの目は、とても大きく直径30センチもあります。
ダイオウホウズキイカの目とならび、生物界で最大とされています。
ダイオウイカは、その巨大な目によって、ごくわずかの光をとらえることができます。
深海の暗闇においても視力を発揮するのです。
ちなみにダイオウイカは、北アメリカやヨーロッパ付近の大西洋、ハワイ島付近、日本では小笠原諸島などの広い範囲で発見されています。
しかし深海に棲息するため、発見される数は非常に少ないです。
ダイオウイカの食性
ダイオウイカがなにを食べているのかは、よく分かっていません。
2004年に仕掛け針のスルメイカを捕食しようとしている記録、2006年に針に掛かって弱ったアカイカを捕食しようとしている記録があるくらいです。
このことから小型のイカ類を好んで食べているのではないかと、推測されています。
また、漂着したダイオウイカが小型のソコダラ類を食べていたという記録も残っています。
ただ、発見数がとても少ないため結論には至っていないようです。
マッコウクジラに捕食されるダイオウイカ
ダイオウイカの天敵は、マッコウクジラであると考えられています。
その理由としては、まずマッコウクジラの胃からダイオウイカの痕跡が多く発見されています。
また、マッコウクジラの頭部に、ダイオウイカの吸盤の跡やその爪により引き裂かれた傷が残っていることがあげられます。
マッコウクジラとダイオウイカのその実力は、決して均衡しているわけではありません。
マッコウクジラがダイオウイカを一方的に捕食しているだけなのです。
ダイオウイカは、せいぜい吸盤でマッコウクジラの皮膚の表面を傷つけるくらいです。
マッコウクジラを捕食することなどとてもできません。
マッコウクジラは最大20メートル、ダイオウイカも体長18メートルを超えますが、しかしそのほとんどが触腕です。
体格からすでに差があります。
しかも、マッコウクジラは、その大きな頭部から超音波を発射します。
まず超音波で獲物を気絶させてから食べると言われています。
さすがのダイオウイカも、これでは手も足も出ません。たくさんあるんですけどね。
(ライター ジュン)