アマガエルの名前は雨が降る前に鳴くことから付けられたと言われています。
本当にアマガエルは雨の前に鳴いているのでしょうか?
雨の前に鳴くのはアマガエルだけ
通常、カエルの声というのは、オスのカエルが繁殖期にメスを呼ぶために発します。
つまり、求婚の合図。と同時に自分の縄張りを主張するという意味もあります。
でも、アマガエルは求婚の時以外にも鳴くことが知られていて、それは雨の前だそう。
日本で雨の前に鳴くのはアマガエルだけと言われています。
日本のアマガエル
日本に生息しているアマガエルはニホンアマガエルとハロウエルアマガエルで、ニホンアマガエルは北海道から九州地方にかけての幅広い地域に生息。
一方のハロウエルアマガエルは南西諸島にだけ生息しています。
オスよりメスの方が大きく、前足に4本、後ろ足に5本の指がついていて、指の先端には白い吸盤がついています。
垂直な面やガラスなどにも張り付くことができます。お腹部分は白く、背面はまだらの灰褐色にも変化し、保護色の役割を果たします。
この色の変化は周りの環境や湿度や温度などによってホルモンを分泌し、色素細胞を拡張したり収縮させたりすることによるもの。
アマガエルは樹上や水辺の植物で生活しています。
オスには声嚢と呼ばれる袋状のものがついていて、そこで大きく音を響かせるようになっています。
繁殖期の広告音
繁殖期にオスがメスを呼ぶために鳴く音は広告音と言われています。
一方で、雨の日に鳴くことを「雨泣き」と言います。
広告音が夜に響き渡るのに対して、雨泣きは昼にも聞こえてきます。
何故雨を予感できるのか?
アマガエルはなぜ雨の前に鳴くのでしょう?
カエルは成体になると皮膚呼吸をします。
皮膚呼吸というのは魚たちが鰓にためた水の中から酸素を取り出して呼吸に使うのと同じように、皮膚にためた水分の中から酸素だけを取り込んで呼吸する仕組みです。
ですから、雨の前に空気の湿度が高まると、乾燥しているときに比べて、数倍も呼吸がしやすくなります。
そのことでアマガエルは雨を感知していると考えられているのですが、感知した後になぜ泣くかについては、いくつかの説があるようです。
まず、呼吸がしやすいというのは余計なエネルギーを使わないで済むので、カエルたちが普段よりも元気だということ。
これが繁殖するエネルギーにつながって、普通は夜しているラブコールを昼間からしている。
他には、呼吸しやすくて思わず雄たけびの鳴きをしているなど。
その真意のほどは明らかにはなっていないようです。
雨の予感は当たる?
では、アマガエルの雨なきは実際に雨を予測するものなのでしょうか。
あるデータではアマガエルが鳴いて30時間以内に雨の降る確率は50~70%だったとか。
東京という街にスポットを絞ると、68回鳴いたうちの45回が雨で、その確率は66%だったとか。
これは気象予報士たちが発表する天気予報の確率に迫るほどの勢い!!
あながちでたらめでもなさそう。
ただ、カエルの皮膚は単に湿度を感知するというだけのことで、次の日の雨予報を予測するものではありません。
湿度だけ上がって、そのまま雨が降らずに終わるなどというデリケートな予報はアマガエルにはできないようです。
雨の前触れと言われる生物の行動
雨を予測する生物はアマガエルだけではありません。
例えば、ツバメが低く飛ぶと雨が降るとか、昆虫を沢山見ると雨が降るということを聞いたことはありませんか?
農業地帯が広がる田舎では日常的に皆が口にする言葉です。
ツバメが低く飛ぶのはこれも湿度と密接に関係しています。
ツバメは跳びながら昆虫などのエサを捕食しますから、普段エサとなる昆虫たちが湿度が高くなることによって羽や体に水分がついて高く飛べなくなり、その昆虫を捕食するツバメも必然的に低く飛ぶしかなくなるということ。
昆虫を多くみるというのも、昆虫たちが湿度が上がったのを察知して、雨に濡れない家などの周りに移動してくるため、私たちが目にする機会が多くなるということのようです。
まとめ
天気予報のなかった時代は生物たちの微妙な動きを察知して私たちも暮らしていました。
これが、生きものと人間の共生の形だったのでしょう。
今は優秀な天気予報士達がいます。生き物たちの行動は風流をかんじながら、参考にするのが良さそうです。