まるで蛍のような色合いをした蛾がいるのをご存知ですか?
蛍のように光を放つわけではないのですが、黒と赤を基調とした色合いは蛾と言えどもなかなかの美しさです。
ホタルガについて
ホタルガは体長2.5~3.0㎝ほどの蛾。頭が赤色をしていて、6~7月と9月の2回見ることが出来ます。
北海道、本州、四国、沖縄など日本全土に生息していますが岩手県ではレッドリストDに指定されているほど、数は減っている昆虫です。
しかし、一方で都会では害虫としての一面も持っているらしく、幼虫の時点から気持ち悪いということで駆除されることも多いようです。
ホタルガの生態
ホタルガの幼虫はサカキやヒサカキなどのツバキ科の植物の葉を食べて成長します。
幼虫は黄色と黒の斑点があり、かなりのインパクトのある毛虫。毛に毒はないのですが、分泌液には毒があります。
人間が大事に至るほどの毒ではありませんが、触ると皮膚に炎症を起こしてしまうので、特に肌の柔らかい子供達は注意が必要です。
一年に2回ほど羽化し、森林内の木陰をひらひらと蝶に似た飛び方で飛びまわり、花の蜜を吸って生きています。
蝶々と似た飛び方ですが、蝶々と比べるとやや直線的で、蝶々ほどの優雅さを感じないのは、やはり蛾の限界でしょうか・・・?
オスとメスの違いは触覚で見分けることが出来ます。オスの触角は羽根毛でメスは櫛歯状をしています。
ホタルガの擬態
成虫の体内には毒があるので、昼間に飛び回っていても鳥たちに食べられてしまうことはありません。
鱗粉には毒性はないので、人が間違って触ってしっても危険なことはないのですが、この、体内に毒を持つのは、ホタルガの名前の由来にもなっている蛍も同じ。
1978年の研究では蛍の体内に「シギタリス」という植物由来の強心剤の一種である物質が含まれていることがわかりました。
大型の動物などが致死量に至るほどではありませんが、ツグミは蛍を食べなかったという結果が発表されています。
ホタルガの擬態は学問用語ではミュラー型擬態といわれているもので、毒性をもつ生物は互いに似てくるということらしいです。
ホタルとホタルガの他にもスズメバチとアシナガバチがこの擬態に当てはまるようです。
私たちが良く知る、夜の幻想的な蛍の光は一説には、毒を持っていることの警告ともいわれています。
残念ながら!?ホタルガの体はどこも光ることはないのですが、蛍を実際に見たことのない人は止まっているホタルガを蛍と間違ってしまうことはあるかもしれませんね。
ホタルガとシロホタルガ
ホタルガにそっくりの蛾でシロホタルガがいます。成虫の見た目はほとんど一緒なのですが、シロホタルガの方はホタルガよりも白のラインが翅の中央にあります。
幼虫もサワフタギ、クロミノニシゴリなどの葉を食べて成長するので、生態はちょっと違うようです。
ホタルガの駆除
綺麗で美しい蛾としての知名度が高い一方で、昆虫に全く興味のない人にとっては、必要以上にインパクトのある蛾として嫌われていることも多いようで・・・。
幼虫のエサとなるツバキ科の植物は家の庭に植えられていることも多く、また公園の植木としても見かけることもある木です。
都会のように限られた場所にしかその植物がない場合、ホタルガが密集してしまうことも大いにあるということで、まるで蛍のような蛾が、密集して葉っぱに止まっている光景がゾクッとして気持ちの良いものでないことは想像がつきます。
そんな方は市販の殺虫剤などをお使いください。
成虫になってからのホタルガは無理なく難なく、これで解決ですが、繭の状態の時は一つ一つ捕獲して退治するしかなくなります。幼虫も木をゆすって落としてからの捕獲→退治をオススメします。
(ライター ナオ)