アカシマサシガメという名前のサシガメを見たことがありますか?
生息数はそれほど多くないのでなかなか実物に出会うことはありませんが、今回はアカシマサシガメの特徴や見分け方について詳しくお話ししていきます。
アカシマサシガメの特徴と生態
アカシマサシガメはカメムシ目カメムシ亜目サシガメ科に分類され、朝鮮半島南部、本州、四国、九州、島嶼では対馬、石垣、与那国に分布、市街地を除く全域に生息しています。
体長は12㎜程で背の上の部分の十字に割れた膨らみがあり、筋骨隆々に盛り上がっている様にも見え、まるで刺青をいれたおしゃれなマッチョといった感じです。中央部は地理的変異や個体変異は知られていません。
側面の縁に沿って赤と黒の模様が入り、腹部下面はほとんど黒色です。オスはメスよりもわずかに大きいですが、外見で判断するのは難しいようです。
昼行性ですがあまり活発には行動しませんが行動は比較的敏捷です。集合性はなく単独で生活します。
地上性、草上性で各種樹林の理念や草原、畑地等植物の根際や石の下などで生活します。
発生は年に1回、4~11月に見られ、新成虫は7~8月に羽化し、成虫は植物の根際や石の下などで越冬します。
幼虫、成虫共に地上性小型昆虫類を捕食し、特に多足類のヤスデやダンゴムシ、ワラジムシなどの小型多足類が好物です。口器を獲物に突き刺し、ストローのように使って体液を吸い取ります。
成虫で越冬し、3月半ばに公園の
アカヘリサシガメとアカシマサシガメの見分け方
アカヘリサシガメはアカシマサシガメに似ているサシガメです。
サシガメかモンシロサシガメ亜科に分類され、体長は12~15㎜、全体は光沢のある黒色で前胸部の周囲と腹部の外縁が赤いのが特徴です。
本州、四国、九州に分布し、山地で多く見られ、エサは蛾や蝶の幼虫やハムシなどの小昆虫です。
よく飛び回り活動場所を移動しますが、動き自体は緩慢。
アカシマサシガメとの見分け方は、アカヘリサシガメの前胸部は十字紋がなく、外縁が赤くなっていること。またアカシマサシガメの側面の縁の赤黒の縞模様もありません。
クビグロアカサシガメ
クビグロアカサシガメもまたアカシマサシガメによく似ています。
本州、四国、九州に分布し、発生時期は4~10月で体長は10㎜程度。
前胸背の中央にアカシマサシガメと同じ十字状の溝があり、前半は黒色、後半は赤色をしています。
アカシマサシガメとの見分け方は、クビグロアカサシガメの方が体長が小さいことと、前胸部の色。
前胸全体が赤いのがアカシマサシガメ、前胸の前半部分が黒く、後半部分が赤色をしているのがクビグロアカサシガメです。
益虫でもあり害虫でもあるサシガメ
一般的にサシガメは農業害虫を捕食してくれる存在です。
しかし、思わぬところで人間を刺すこともあり、そんな時は痛みを伴い、更に北米南部や中南米ではジャガーズ病という伝染病を媒介して問題になっている衛生害虫でもあります。
ジャガーズ病は感染してから数週間後に発祥する人もいればそのまま数年、数十年の潜伏期間がある人もいます。
突然十数年後に歩けなくなったり、心筋梗塞や臓器の巨大化があらわれたりして、それがジャガーズ病が原因だと気づかないこともあるようです。
日本に生息しているサシガメで感染することはありませんが、献血で採取した血液によって感染したというニュースがあり、可能性はゼロではありません。
アカシマサシガメのまとめ
アカシマサシガメは朝鮮半島南部、本州、四国、九州、島嶼では対馬、石垣、与那国に分布、市街地を除く全域に生息している。
体長は12㎜程で背の上の部分の十字に割れた膨らみがあり、側面の縁に沿って赤と黒の模様が入り、腹部下面はほとんど黒色。
よく似るアカヘリサシガメの前胸部には十字紋がなく、外縁が赤く側面の縁の赤黒の縞模様もない。
クビグロアカサシガメもアカシマサシガメに似るが前胸の前半部分が黒く後半部分が赤色をしている。
(ライター ナオ)