よく見る生物について殆ど知らない、という事はままある事で、親しいと思っている人間の事ほど分かり難いなんていう事もあるでしょうか。

石や落葉をよけて丸いような生物が出てくるとダンゴムシがいた!と思ったものの、よく見るとちょっと違う生物に見える事があるのではないでしょうか?あれは何でしょうか。

ワラジムシについて

ワラジムシは陸に生息する甲殻類の一種です。

ワラジムシ目ワラジムシ科に属しています。

ワラジムシ目には他にダンゴムシ科も入っていますので似ています。

ワラジムシの体色も黒っぽいですが、茶褐色です。

 

ダンゴムシは黒系の灰色の事もあるので見た時の印象がやや違います。

ワラジムシ目は等脚類とも言われ、陸に生息するものや海に生息するもの、体が大きいものなど様々です。

 

ワラジムシ科のワラジムシの生息地は日本全国の公園や土のあるところです。

種類によっては海岸の近くに生息するワラジムシもいます。

 

体長は12~13mmほどで幅は6mm程度です。

ワラジムシの見た目は細かなぼこぼことした質感で、つるりとはしていません。

ワラジムシの体のつくり

ワラジムシは草履のような平べったい形をしています。

別名ゾウリムシとも呼ばれます。

一般に見られるオカダンゴムシ科のダンゴムシはもう少し体に丸みがあります。

ワラジムシの体は個体や種類にもよりますが、ペラっとした体つきの事も多いです。

 

ワラジムシの体は胸部7節腹部5~6節から成り、脚はそれぞれの節ごとに1対ずつついています。

脚の数が多いのも、ワラジムシ目の生物が昆虫ではないと言われる所以です。

 

ワラジムシの脚はよく動き、色は白っぽいです。

ワラジムシはお尻がポイントです。ワラジムシの体節最後の方にある尾肢が発達しています。

 

この尾節あたりからは警告フェロモンといわれる物質を分泌していると言われています。

ワラジムシには実は種類がたくさんいるようです。よく似ている上に種類が多くプロでも判別は難しいようです。

ワラジムシの触覚や種類について

ワラジムシの触覚は外側に向けて開いているように見えます。

ダンゴムシより長いです。

 

触覚が長いとチョビヒゲワラジムシの仲間である事が多く、胸節の縁にくぼみのようなものがあればワラジムシ属、なければホソワラジムシ属などと言われます。

一般に見かける事がありそうなのはワラジムシとホソワラジムシです。

 

ワラジムシは日本全国に生息しますが、ホソワラジムシは関東より南の地域に生息していると言われます。

しかしぱっと見何なのかわからない事も多く、落葉の下などで見るだけだとダンゴムシだと思う事も多いでしょうね。

 

ワラジムシはどこか日陰の存在です。

動きが素早くダンゴムシに似た虫はワラジムシの可能性が高いのです。

ワラジムシの呼吸について

ワラジムシも腹肢付近に呼吸の為の器官があると言われています。

腹部側からワラジムシの体を見ると白い部分があり、これが呼吸器官だとされています。

 

白体とも言われ、偽気管とも言われます。

ワラジムシはこの器官に空気を満たし、皮膚呼吸も行っているようです。

ワラジムシの歩行や脚の動かし方について

脚がたくさんあるワラジムシはせかせか動きます。

長い触覚は恐らく周囲の安全性を確かめるにも役立っているのではないでしょうか。

 

ワラジムシを迷路に入れてみると、いつも同じ出口から出てくるそうです。

これはどこに仕切りや曲がり角があるかを触覚によって知覚しているように見えます。

 

ところが触覚が完全ではない場合にもその行動は見られるとされ、道のかたちによってはワラジムシは蛇行するように歩行する事もあるようです。

ただ触覚が片方失われた場合はワラジムシの歩行速度は遅くなります。

 

ワラジムシの行動については謎が多く、やはりダンゴムシと似ているようにも思えます。

移動が素早い事もワラジムシの生態の特徴です。ワラジムシの脚の動かし方にも特徴があるようです。

 

ワラジムシは左右両方に対の脚を持ちますが、片側の脚を動かし始めると即座にもう片方の脚も動かし歩行しているようです。

この際生じる時間差も規則性を保っているようである事から、ワラジムシの実直で几帳面な性質がうかがわれます。

 

体の中央部分にある脚についてですが、動きがうまくいかないのか速すぎるのかは不明ですが、中央付近の脚が歩行中に重なり合ってしまうという様子も観察されるそうです。

ワラジムシにとって触覚とは移動する時にバランスを取る役割もあるように見えます。

やはりワラジムシの歩行は謎です。また、動く順番は後肢からです。

ワラジムシのオスとメスの体の違い

ワラジムシのオスをひっくり返してみると交尾器とその両側に第1腹肢外肢があります。

目視で見ると、両脇に長いものと真ん中に短いものが三本があるな、という印象です。

 

交尾時には交尾器ではなく、第1腹肢外肢を使用します。こ四肢が交尾用として変化したものではないかといわれています。

甲殻類は脚が何かに変化している事があるようですね。メスには生殖孔があります。

 

ワラジムシの交尾スタイルはやはりメスの上にオスが乗っかる場合が多いようです。

失敗する事も観察されますので、ワラジムシはデリケートな性質もあるのでしょうか。

ワラジムシの成長

ワラジムシはワラジムシのメスの腹から生まれてきます。

メスの体内にある育房内で孵化し、外に出られるくらいになると小さい2mm程度の透け感のある質感の超小型ワラジムシが出てきます。

 

暫くメスの腹部にくっついていますが、そのうち動き回るようになります。

ワラジムシは脱皮しそのたびに体節と脚が増えます。古い皮は体節の第4節と第5節付近からパックリ2つに分かれます。

 

この2段階の脱皮法もダンゴムシに似ていますね。成熟するまでは3ヶ月ほどで、繁殖時期は餌のある春から秋にかけてが多いようです。

ワラジムシは腐植物などを好みます。

成長中の植物は食べません。夜行性のようですが、薄暗い時には動いている事もあるようです。

ワラジムシの特徴

ワラジムシの体の特徴は体色は茶系の事が多いが種によっては灰色っぽく現れるのはほぼ一年中、土の周囲だけでなく海岸が近い土地にも生息できる種類がいる、丸くならないようだ、という事でしょうか。

 

触角が長いというのもワラジムシの特徴になりそうですが、ワラジムシ科のヘリジロワラジムシは触角は短く体色もグレーです。

ダンゴムシはワラジムシ科に入っていますので、ダンゴムシはワラジムシの1種です。しかし彼らの生態は異なる点も多くあるようです。

(ライター:おもち)