日本においてカメムシのテンプレとも言えるイメージは、緑色でとても臭く、まれに大量発生を起こすヤツです。
しかしカメムシにも多くの種類がありそれぞれに見た目や生態も異なります。
ホソハリカメムシは一般にそれほど知られていませんが食害を起こすことで一部の業界で有名です。
具体的にどのような害を及ぼすのか、そして見分け方など紹介していきます。
ホソハリカメムシの概要
まず簡単にホソハリカメムシについて特徴をまとめます。
本州や四国、九州まで広く生息するカメムシの一種で、特に西日本での出現率が高いです。
春から秋にかけて活動的になり、イネ科の植物に張り付いているのを確認できることもあります。
そのため水田近くの雑草にも生息していることがあります。
人間との関係性はと言えば、直接襲うようなことはないものの米への食害を起こすため害虫として扱われています。
見た目と近縁種との見分け方
ホソハリカメムシの体長は1センチ前後とカメムシの中でもやや大きめです。
見た目の特徴を挙げるとすれば地味な体色と角のある細長い体形にあります。
薄い褐色をしており、鮮やかな緑をしたよく見るカメムシに比べると非常に地味です。
しかしよく見てみると白い縁取りが確認できます。
触角の第一節が長いことも一応特徴と言えますが、やはり胸部の両端が尖っていることが一番分かりやすい特徴になります。
さらにこの胸部からお尻にかけては距離があり、細長い体形をしています。
幼虫に関してもよく似た色合いをしていますが、全体的にやや体がゴツゴツした形になっています。
近縁種にはハリカメムシやヒメハリカメムシなどがいます。
ヒメハリカメムシは本種よりもやや小さく、ハリカメムシは少し大きめです。
なかなかじっくり観察しないと見分けが難しいですが、ハリカメムシはホソハリカメムシと比べて幅が広いこと、触角の色の違いなどに気づけます。
イネ科を好む食性
多くのイネ科、そしてヒユ科も好んで食べます。
食べるといってもカメムシなので人間のようにバクバクと食べるわけではありません。
ストロー状の口を植物に差し込んで汁を吸いこむようにして食事をします。
特に夏場はエノコログサやメヒシバなどの生えている場所に集まり増殖します。
斑点米を生み出す食害
「斑点米」をご存知でしょうか。
おそらく誰もが見たことのある米だと思います。
米の一部には黒くシミのようなものが付いた米があります。
その米のことを斑点米と呼び、状態の良くない米とされています。
苦味などを生み出す原因となり味も落ちます。さらに見た目も良いものではありません。
できるだけ斑点米を混入しないように対策されていますが、農薬を使わない環境で完全にこれを取り除くのは難しいのが現状です。
ホソハリカメムシを含む、米への食害を起こすカメムシを斑点米カメムシとも呼びます。
クモヘリカメムシやホシカメムシ、コバネヒョウタンナガカメムシなど他にも多数存在します。
イネの穂から養分を吸い取ることで米は黒く変色してしまいます。
またイネの成長における初期段階で食害に遭うとダメージが大きく、黒くなるだけでなく潰れたように平たくなった米になってしまうことも分かっています。
基本的にホソハリカメムシの多くはイネの開花に合わせて成虫がやってきます。
そして食害を起こすと同時にイネへ産卵します。この卵がふ化することで水田内のホソハリカメムシが増大し食害が急速に進んでしまいます。
ホソハリカメムシは細長く地味な見た目をした斑点米カメムシである
虫の中には毒々しい目立つ色をしたものを多くいますがホソハリカメムシは言ってしまえば地味です。
しかし米への食害を起こす虫として注目される虫でもあります。
(ライター yuki_1)