小さくて可愛らしいイトトンボ。

しかし一言でイトトンボと言っても、その種類は様々です。

 

今回紹介するのは、「クロイトトンボ」というトンボについて。

クロイトトンボの生態や特徴、そして他のトンボとの見分け方などについて、詳しく見ていこうと思います。

クロイトトンボの生態

クロイトトンボは、北海道から九州にかけて広く分布しているトンボです。

(ただし、北海道や東北地方では数が少ないそうです。)

 

なんとなくトンボと言えば夏か秋かの短期間だけ姿を現すというイメージがありますが、クロイトトンボの主な発生時期は4月~11月にかけて。

春から秋までの長期間にわたって、その姿を見ることができます。

 

生息環境は平地や丘陵地の水草の多い池や沼などを好みますが、都市部でも割と普通に見られるため、みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

クロイトトンボのオスは特に晴れた日の午前中に活動的に飛び回り、縄張り争いを行います。

 

そして勝ち取った縄張りにある水草の上などで、メスが来るのをじっと待つのです。

オスが縄張り争いをしている間、メスは近くの茂みで待機しているそう。

 

交尾をする際は、オスがメスの首あたりを尾部でつかむため、まるでハート型のように見えることも。

ちなみに、卵は水草の茎の中に産み付けられ、1~3週間ほどで孵化します。

クロイトトンボの特徴と見分け方

クロイトトンボは、体調わずか3cm前後(大きくても4㎝弱)というとても小柄なトンボです。

またその名の通り糸のように細い体が特徴的で、飛んでいる姿はまるで「黒い糸が飛んでいる」ように見えます。

 

しかしじっくり観察すると黒一色というわけではなく、胸部や腹部の先端(尾部)はとても鮮やかな水色。

そして、成熟した個体は胸の横が粉をふいたように白っぽくなるのが特徴です。

 

ただし、これはオスの場合。

じつはメスの場合、水色ではなく黄緑色をしている個体も存在します。

(水色をしている個体ももちろんいるそうですが。)

 

そして胸も白っぽくなりません。

黄緑色のメスの場合は他のイトトンボのメスとよく似ているため、見分けるのがとても難しいといわれています。

 

また、ヤゴの時の見分け方としては、尾鰓にある3つの斑点がハッキリとしていることが特徴です。

しかしこれも同じくクロイトトンボ属の仲間たちはとてもよく似ているので、本当にじっくりと観察しないと、見分けるのは難しいでしょう。

ヤゴにしろ成虫にしろ、一度捕まえて見てからじっくりと観察する必要がありますね。

クロイトトンボの捕まえ方

クロイトトンボは、他のトンボに比べて長い期間その姿を見ることができます。

そのため、必然的に捕まえるチャンスも多いということですね!

 

クロイトトンボを捕まえるためには、まず見つけることが第一の課題となります。

小さく見えづらいので、植物にとまっていたりすると、その姿を見つけるのはとても困難です。

 

ちょっとでも目を離すとどこへ行ったかわからなくなってしまうため、見つけたら目を離さないようにしましょう。

また、飛行の際には水面スレスレを飛ぶことが多いので、その点でも捕まえづらいです。

 

飛んでいるところを捕まえようとするよりは、植物にとまっている所を虫捕り網でサッと捕まえてしまうのがいいでしょう。

また、成虫の出現時期が長いため、ヤゴは通年生息しているので、ヤゴを捕まえて育ててみるというのもおすすめです。

クロイトトンボについてのまとめ

クロイトトンボは、その名の通り「黒い糸」のような姿をしたトンボです。

しかしオスと一部のメスは胸部や尾部が鮮やかな水色。

捕まえるのは少し難しいですが、出現期間が長くチャンスは多いはずなので、ぜひチャレンジしてみてください。

(ライター もんぷち)