マツヘリカメムシは日本においては歴史が浅く、あまり存在が認識されていません。
しかしその名前から分かるように、マツ類の植物との関連性が強いヘリカメムシ科の仲間です。
今後の問題発生が危ぶまれているカメムシであり、見た目もカメムシとしてはインパクトの強いものとなっています。
国内外での動向
北米が原産地と言われており、その中でも西部で生息していた本種が東部にまで移動し生息域を広げました。
その後技術的な進歩もあり輸出入が盛んになることで、マツヘリカメムシも活動範囲を広げていきます。
ヨーロッパでもイタリアで発見されたことをきっかけに各国へと分布が拡大、日本でも東京で確認されています。
徐々に生息域を広げ、国内では関東を中心に活発化しています。
マツヘリカメムシはマツ類の種子や新芽を食害するため問題視されています。
さらに民家への侵入が起こることもあり、その見た目から不快害虫として駆除の対象にもされています。
生態と予期される問題
マツ類への食害問題に加え、越冬するために建造物に入り込んでくる性質が諸問題を起こしています。
もともと生態上冬になると樹皮下や他の動物が作った巣などに入り込むとされていますが、人間のいる環境では屋内に入ることで簡単に暖が取れるため多数のマツヘリカメムシが集まることがあります。
狭い空間に群れをなして密集することで暖を取るので、家屋の配管設備などに入り込み内部を傷つける可能性があります。
またそうした穴などから家の中へと入りこみ人の目の前に現れることもあります。
海外ではすでに集団越冬する様子が確認されています。
日本ではまだ生息数がそれほど多くないため重大な問題は発生していませんが、生息域や生息数は徐々に増加しているとみられており、今後マツヘリカメムシによる問題が発生する可能性があります。
マツヘリカメムシの見分け方
まず体長が大きいという特徴があります。
15㎜から20㎜にまで成長すると言われ、カメムシの中では大型の部類です。
さらによく見ると体全体は細く短い毛で覆われています。
体色は褐色または赤褐色をしています。
この色自体はあまり目立つものではありませんが、大きな体と翅付近の白いボーダー状の模様、そして大きく発達した後ろ脚など、多くの目立つ特徴を持っています。
これらの情報を知っていればマツヘリカメムシであることの見分けができると思います。
細かく見ていくと発達した後ろ脚には小さな刺が並んでいることが分かります。
多くの刺を持っており、どれも大きなものではありませんが、人間でいう太ももやすねの辺りにまで刺が付いています。
マツヘリカメムシの幼虫も構造はほとんど同じです。
翅がないなど、体形もやや違いがありますが、脚が長いことなどは共通しています。
マツ類への害
日本ではクロマツが多く生えています。
クロマツとは国内において自生しているだけでなく植樹もされているマツ類の一つです。
植樹されることによって自生化することもあり、全国的に広く分布しています。
海岸沿いや道路沿いでは特に利用が多く行われています。
これは、クロマツが汚染や塩害に強い性質を持っているためであり、こうした影響を軽減するために植えられています。
また園芸用として使われることもよくあるため一般家庭でも育てられています。
代替する植物の存在によってクロマツ以外の活用もされてはいますが依然クロマツは様々な場所で見ることができます。
現在マツヘリカメムシは関東に多く分布していますがこれからより多くの地域で発見されることが予想されます。
マツヘリカメムシはゴツイ体にマツへの害を与えるカメムシである
マツヘリカメムシは大きく、そして小さな刺や毛が生えていることなど、いかつい体つきをしているため見分けがつきやすいと言えます。
そしてマツ類を好む性質などから問題を起こす可能性を秘めているカメムシなのです。
(ライター yuki_1)