ヒメカマキリはカマキリ目ハナカマキリ科のカマキリです。

ハナカマキリといえば花そっくりの姿に擬態する種もいる昆虫とは思えないようなカマキリですが、日本にも分類上はハナカマキリの仲間とも言えるヒメカマキリが生息しています。

ヒメカマキリの生息地

日本に生息ハナカマキリ科のカマキリはヒメカマキリとサツマカマキリの2種とされています。

ヒメカマキリは日本の本州から南西諸島に生息します。本州での北限は京都あたりではないかとみられていますので、西日本以南で見かける事ができるカマキリのようです。

一方サツマカマキリは九州に生息するカマキリです。

ヒメカマキリの外見や生態など

ヒメカマキリの特徴は体が小さい事です。成体の大きさは25~35mm、幼体だともっと小さく、初期は体が黒いのでよく見ないとヒメカマキリの幼体だとは気づかないほどです。

 

ヒメカマキリは薄い茶褐色の体色に前翅の横が明るい黄緑色をしているのが特徴です。

胸部が小さく、腹部がずんぐりしており、カマキリ特有のカマは丸っこいように見えます。

 

メスの方が体が大きく、特に腹部がもったりした体形です。

中脚と後脚には茶色い縞模様があるようです。

 

体の大きさはオスの方が小さい事が多いようです。ヒメカマキリも昆虫を食べます。

ハエやアなどです。餌を捕獲すると、カマ状の前脚で持ち上げて頭からバリバリ食べます。栄養のある胴体を食べ、翅は残すようです。

ヒメカマキリの体色や複眼の特徴

カマキリの中には種が同じでも体色が緑のものと茶系のものと変異がある種がいます。

ヒメカマキリも緑色のものと茶色っぽいものがいるようです。

 

この色の違いについては、周囲の環境が緑の多いところだと体色に緑が多く入り、茶系だと茶色い部分が多いのではないかなどと言われているようです。

ヒメカマキリの複眼は正面からみると線状のような模様が見えます。

 

カマキリの正面アップの顔つきは迫力がありますが、ヒメカマキリもなかなかのものです。

樹の上にいる事を好むのであまりアップで見る事が少ないカマキリですが、見つけたらよく見たくなるような変わった模様の複眼です。

ヒメカマキリの卵鞘の特徴

ヒメカマキリの成体の姿が見られるのは9月~11月、ところによっては12月になってもいる事があるようです。

ヒメカマキリの産卵シーズンは秋です。

 

ヒメカマキリの交尾もメスの上にオスが乗る恰好になりますが、産卵時はやはり非常に空腹になりますので、メスのヒメカマキリはオスを食べる事もあるようです。

翅は残すようです。

 

カマキリの卵と言えば卵鞘ですが、ヒメカマキリの卵鞘は直方体のような形で一見茶色い箱のように見えます。

跳び箱のようだとも言われる独特の形です。箱の頂点のようなところにツノのようなものがあるのも特徴です。

 

大きさは縦12~15mmほどです。この中に卵が整列しています。場所はヒノキの樹の樹肌の下やサクラの樹皮の割れ目などが多いようです。

ヒメカマキリの卵鞘は産卵直後は白っぽいですが、だんだん茶色く飴色になります。

ヒメカマキリは卵の状態で越冬します。時がくると中からヒメカマキリの幼体がちょろちょろ出てきます。

ヒメカマキリの幼体の特徴

ヒメカマキリの幼体は見た目は黒いアリに似ています。

よく見ると長い触角やカマのようなものもあるのですが、とても小さいので知らなければアリだと思うかもしれません。

 

しかし近くに小さい箱のようなものがあれば、ヒメカマキリの幼体が出てきたのだと分かるでしょうか。

時期はだいたい初夏です。ヒメカマキリはあまり見かけやすいカマキリではありません。

 

体が小さくすばしっこい事もありますが、雑木林のようなところを好み、他の大きなカマキリたちより目立たないのです。

ヒメカマキリは寒さが苦手なので、気温が低いとまだ出てきません。幼体が出てくる頃になると卵鞘がちょっと膨れたようになります。

 

ヒメカマキリの幼体は、一斉に出てこない事が多く間を開けるようにして順番に出てきます。

まだ小さい幼体はまだ翅がなく、飛ぶ事ができません。広葉樹の葉の上などにいる事が多いようです。ヒメカマキリの幼体は大きくて1cmほどです。

ヒメカマキリの翅の特徴と飛び方

ヒメカマキリの後翅は前翅より長く、ややはみ出ています。

ヒメカマキリの体を上から見ると、後翅の先端が突起のようになっているのが特徴です。

 

後翅周辺を見ると、後脚の付け根の方に葉状突起と呼ばれるトゲのような突起があります。

その下に前翅の側面の明るい黄緑が見えます。飛ぶために使う後翅はとても薄く繊細に見えます。

ヒメカマキリは樹の別の葉や枝にうつる時にぴょんぴょん飛ぶようです。

ヒメカマキリの特徴と見分け方

  • ヒメカマキリの卵鞘は秋から冬にかけて広葉樹の樹肌や下の方にあり、形は箱型で大きさ12mm程度です。
  • ヒメカマキリの生息地は本州でも温暖な地方で、成体は9月~11月頃まで見られるようです。
  • 初夏になると黒いアリのようなものが樹のあたりにいて、触角が長ければヒメカマキリの幼体である可能性もあります。
  • ヒメカマキリの体の色は茶系である事が多く、大きさは2,3cmほどです。
  • 動きが俊敏で体が小さいので、見つけたと思ったらもういない事もあります。
  • ヒメカマキリ(acromanis laponica)は日本固有種のようです。しかし見つけにくいので、ところにより絶滅危惧種とされているようです。

(ライター:おもち)