「ヒメ〇〇」なんて名前の生き物がいたら、なんとなく「小さくて可愛らしい」姿を想像しますよね。
しかし、今回紹介する「ヒメバチ」は、名前と見た目に大きなギャップのあるハチなのです!
その見た目も生態も、全く「ヒメ」なんかじゃない…そんなヒメバチの特徴について、見ていきましょう。
ヒメバチってどんなハチ?
ヒメバチというのは、ヒメバチ科に属するハチたちの総称です。
一言でヒメバチといっても、その数はなんと世界で約15000種類!
記録されていないものや未発見のものも含めると、その総数はじつに60000から100000種にものぼると言われています。
とんでもない種類がいるんですね…。
日本国内だけでも1500種(可能性だけで言えば3000種はいそうと言われている)もいるそうで、見つけたヒメバチが何という種なのかを調べるだけでも一苦労なんだとか。
素人では、まず種の特定まではできないでしょう…。
しかしそんな多くのヒメバチたちに共通する点、それは「他の昆虫(主に蛹や幼虫)に寄生する」ということ。
メスは甲虫やチョウ、クモなどの幼虫や蛹に卵を産み付け、卵から孵った幼虫は、宿主の体内を食い荒らしながら成長します。
すぐさま命に関わるような部分は食べず、十分自分が成長して用済みになったら、最後に宿主を殺すという…。
これは「捕食寄生」と呼ばれる寄生の形であり、宿主となった昆虫は寄生されたが最後、最終的には確実に命を落としてしまうのです…。
彼らが、人間に寄生するような生き物ではなくて、本当に良かった!
ヒメバチの特徴や見分け方
まず初めに断っておきたいのは、膨大な種類のヒメバチを一つ一つ見分ける方法は、ここでは紹介できません。
専門家ですら、頭を悩ませることがあるくらいですからね。
というわけで、ヒメバチ全般における共通の特徴や、ほかのハチとは異なる点などを見ていきましょう。
初めに大きさについてですが、これは種類によって数㎜~5㎝ほどとかなり幅があります。
体型は他のハチに比べるとかなりスリムで、特に腹部が長いのが特徴です。
個人的な感想だと、「アリの腹部だけを引っ張って伸ばした」って感じですね。
そして最もわかりやすい特徴と言えば、おしりから長ーく伸びた産卵管(針)です。
ヒメバチは昆虫の体内などに卵を産み付ける必要があるため、必然的に産卵管が長くなっているのです。
おしりに針があるハチは当然他にもいますが、彼らとヒメバチにはもう一つ違うところがあり、それが「触角の長さ」。
ヒメバチは他の蜂に比べて触角の節が多く、そのため触角自体も長く目立っているものが多いのです。
ヒメバチの巣ってどんなの?
ハチと言えば巣を作るというイメージが強いですが、ヒメバチは巣を作りません。
ハチにとっての巣とは主に子育てをする場であり、他の昆虫の体内で勝手に育っていってくれる彼らにとっては、巣は必要ないものというわけですね。
もしも身近なところでヒメバチを見つけても「どっかにハチの巣があるのかな、いやだなー」なんて心配はありません。
また、ヒメバチは単独行動が基本ですし、よっぽどのことがなければ人間を刺すこともないです。
万が一刺されてしまうと腫れや痛みなどはあるようですが、重篤な症状に陥ったり、ましてや寄生されたりなんてことはないので安心してください。
ヒメバチについてのまとめ
世界に膨大な種類のいるヒメバチ。
細くスリムな体つきや、長く突き出た産卵管(針)、長い触角が主な特徴です。
そして他の昆虫に卵を産み付け、幼虫を寄生させる恐ろしい寄生バチ…。
人間にとってはあまり害がないどころか、人間にとっての害虫たちを駆除してくれる、有難い存在でもあるのです。
むやみに触ったりすると刺される可能性もあるので、見つけてもそっとしておいてあげましょう。
(ライター もんぷち)