カミキリムシは木で育つとは限らないようで、タケから生まれるカミキリムシもいるのだそうです。どんな昆虫なのでしょうか。

ベニカミキリの成虫の外見について

ベニカミキリの外見の特徴は前翅がややダークな赤色な事です。その他の部位は黒です。

体には微細な毛が生えています。黒い頭のすぐ下の前胸部に黒い斑点を持つ個体もいます。

 

外見が酷似している種にヘリグロベニカミキリがいますが、ベニカミキリはこの前胸部の横あたりがわずかに出っ張っています。

斑紋のみで詳しく種を同定するには煩悶せざるを得ないほど難しいようですが、ヘリグロカミキリは体の側面が黒いのです。

 

ベニカミキリは側面の黒い感じがありません。

このような細かな外見の特徴はベニカミキリの成体を採集できればじっくり見る事が可能です。

 

ベニカミキリの飛ぶ為の後翅は黒っぽく、腹側も黒です。

生息地は北海道から九州までです。しかし北海道ではベニカミキリは稀ではないでしょうか。

 

ベニカミキリの体長は13m~17mmくらいで黒く長い触角があります。

オスの方が触角が長く、体より長いようです。比較的低地にも生息し、昼間行動する昼行性ですから探していれば見つかるかも知れません。

ベニカミキリとタケ類の関係

昆虫は幼虫の時と成虫では餌とするものが違う事も多々あります。

幼虫が孵化後餌に困らないように、その種の幼虫が好むものの近くに産卵される事も多いですね。

 

ベニカミキリの産卵場所はモウソウダケやマダケなどのタケです。

タケの節のところなどに産卵し、幼虫はタケ内部に侵入し縦方向にタケを食べるようです。

 

産卵時期は6月頃が多いようです。竹林にあるタケに産卵する場合もあるようですが、特に弱って枯れたタケやタケの資材などに産卵する場合があります。

また、3、4月頃に伐採されたタケの資材などに産卵する場合もあるようです。

 

この時期のタケは成長著しく水分やでんぷん質などの糖分などが多く含まれ、ベニカミキリの幼虫にとっては都合が良いのではないかとも考えらえています。

実は日本では竹林が増えていると言われています。

 

現在タケが増えていると言うと意外な気がしますが、破竹の勢いで伸びる栄養豊富なタケは虫たちの好物です。

ベニカミキリも例外ではなく、好んでイネ科のタケ類に産卵しタケの内部で成長します。

 

特にモウソウタケは成長が早くきわめて頑丈な植物で、地下茎を伸ばして成長し周囲の植物を覆い隠すほどになります。

その為ベニカミキリは産卵場所に困りません。ベニカミキリは竹林のある地域で特に見つけやすいと言えるかも知れません。

まずは幼虫時代の餌がないと、その種の昆虫が生息し続ける事は困難になります。

ベニカミキリの成長過程や生態

ベニカミキリの幼虫はタケの内部でタケを食べて成長します。幼虫は薄い黄色がかった白のうじ虫状です。

大きくなると30mmほどに成長します。このころになると幼虫が出すおがくずのような糞がタケの中にもぎっちり詰まっています。

 

ベニカミキリの幼虫はとてもよく食べますので、場合によってはタケから何か音がするという事もあるようです。

庭にタケ資材を置いていたら、バキバキに折れており中を見たら黄色っぽいまるまると肥った幼虫が発見される事もあるようです。

 

ベニカミキリの幼虫が内部にいるタケには夏になると脱出する為5~7mmほどのやや楕円形の穴を開けます。

タケのある林で穴のあるタケがあったら、周囲にベニカミキリがいるかも知れません。

 

ベニカミキリは7~8月頃にタケ内部で黄色い蛹になります。夏に蛹化したベニカミキリは8月には羽化し成虫になります。

そして成虫の姿で越冬し、翌年産卵します。ベニカミキリは成虫になるとネギの花やクリの花の花蜜を好みます。

 

雑木林のようなところで見つかる事も多いようです。

しかし、秋頃に孵化した幼虫の場合はそのままタケ内部でもりもりタケの木質部を食べ越冬し、翌春に羽化します。

ベニカミキリの採集方法

ベニカミキリの卵や幼虫はタケの周囲にあります。穴の開いたタケがあればそれらの周囲を丹念に見て回りましょう。

ベニカミキリは成虫になると花の蜜を探しに飛んで行ってしまうので、穴のあいたタケを探す方がベニカミキリは見つかりやすいかも知れません。

 

ベニカミキリの成虫が好む花の蜜はクリやネギなどと言われています。

初夏に咲く白い花です。ベニカミキリは体色が赤いので見つける事ができそうです。

 

ベニカミキリの赤い体色は警告色と言われ、あたかも毒を持つかのような色を身に纏う事で周囲に注意喚起をしていると考えられています。

ベニカミキリには毒がありません。

 

ベニカミキリは瀬戸内地方の島にも生息するようなのでオリーブの白い花やナシ、ミカンなど、ベニカミキリの羽化と重なる時期に開花する花に飛んでくる事もあるとされます。

ベニカミキリを掴む時は背中から前翅を掴むようにします。生物採集が可能な場所を探します。

ベニカミキリの飼育方法と餌

飼育ケースで充分です。底にはティッシュなどを入れます。

クリなどの枝を入れます。ベニカミキリはよく広葉樹の枝や植物の茎に止まっているので、なるべく丈夫な枝を入れます。

 

できれば容器に入れた水に枝を差しても良さそうです。ベニカミキリは花の蜜を好みます。

昆虫ゼリーのようなものでも食べてくれるようです。

 

糖分補給としてティッシュにリンゴジュースを含ませたものを枝にくるんで与える方法もあるようです。

ティッシュはベニカミキリの食事が終わったら取り除きます。薄く切ったリンゴなどを容器に入れてみるのも良いかも知れません。

糖分と水分がベニカミキリの好む餌です。

ベニカミキリの特徴や見分け方

  • タケに穴が開いていたら、中にベニカミキリの幼虫がいる可能性があります。
  • 初夏から夏にかけて咲くクリやネギの花、ナシやミカンなどの花付近に赤く細長い姿の触角が長い甲虫がいたらベニカミキリの成虫かも知れません。
  • ベニカミキリの幼虫はタケを食べ、成虫になると白っぽい花の蜜を好みます。
  • ベニカミキリは幼虫時代はタケ内部でじっとしていますが、ひとたび羽化し成虫になると花の蜜を求め蝶のごとく飛び回る活発なカミキリムシです。

(ライター:おもち)