とても美しい空色が特徴的な「マダラヤンマ」というトンボを知っていますか?

全国的に生息している種ではないので、知らない・見たことがないという人も多いでしょう。

 

まるで宝石のような美しい姿ですが、このトンボが今、絶滅の危機に瀕しています。

そこで、むやみにマダラヤンマに害を与えてしまわないように、このトンボの特徴や見分け方などを知っておきましょう!

マダラヤンマの生態

マダラヤンマは水草のよく茂った池などがお好みで、特に海岸付近の広い湿地などに生息。

(一部の地域では内陸部でも生息。)

 

生息地はとても局地的だそうです。

そしてマダラヤンマの主な活動期間は秋ごろ。

 

卵の状態で冬を越し、温かくなってくると卵から孵化します。

ヤゴの成長の速さは同属の中でも特に早いんだとか。

 

そしてお盆前ごろになると羽化をはじめ、羽化したばかりの成虫は林など水辺を離れて生活。

秋も近づく9月頃になると再び水辺へと舞い戻り、交尾・産卵した後、その生涯を終えます。

マダラヤンマの特徴と見分け方

それでは、マダラヤンマの特徴について、まずはその大きさから見ていきましょう。

マダラヤンマの体長は63㎜~74㎜ほど。

 

他のトンボに比べると十分大きいように感じますが、ヤンマ科の中では小型の部類に入ります。

そして注目すべきは、名前の由来にもなっている腹部のまだら模様。

 

黒いベースに鮮やかな空色のまだら模様が入り、とても美しいのです。

(メスの場合は、空色~黄緑色まで数タイプ存在するそうです。)

 

そして体色もさることながら、複眼の深い青色もとてもきれい!

同じような見た目のトンボに「ルリボシヤンマ」「オオルリボシヤンマ」がいますが、これは大きさで見分けることができます。

 

ルリボシヤンマもオオルリボシヤンマも大きさは75㎜を越えているため、マダラヤンマとは全然サイズ感が違うのです。

また、マダラヤンマはこの2種に比べると、比較的青い部分が多く感じられます。

 

さらにもう一種、マダラヤンマに似ている「マルタンヤンマ」という種がおり、体型や体色などとてもよく似ています。

こちらとの見分け方はツヤがあるかどうか。

ツヤがあるほうがマダラヤンマです。

絶滅の危機に瀕しているマダラヤンマ

マダラヤンマは北国のトンボで、日本では北海道と東北地方に主に生息しています。

関東地方でもごく稀に見られることがありますが、遭遇率はかなり低め。

 

そのため「関東で一番採集難易度が高いトンボ」だとも言われています。

関東より南の地域では、存在すら知らない人の方が多いのではないでしょうか。

 

そんなマダラヤンマが今、生息環境の変化や地球温暖化の影響か、各地でその数が減少してしまっているのです。

例えば東京では完全に絶滅したとされており、関東各県においても絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されています。

 

マダラヤンマは学術的価値も高いため、天然記念物に指定している自治体も。

もし遭遇することができたら、とてもラッキーですね!

 

ただ天然記念物や絶滅危惧種として採集が禁止されているところもあるので、見つけたからと言ってむやみに採集したりしないようにしましょう。

たった一匹の採集が、種の存続に大ダメージを与えてしまうかもしれません。

マダラヤンマについてのまとめ 

マダラヤンマは、空色の体色や複眼がとても美しいトンボです。

日本では東北や北海道など限られた地域にしか生息していませんが、その数は減少しており、絶滅危惧種に指定されています。

 

元々局地的にしか見られない貴重なトンボであることからも、万が一にも絶滅なんてことにならないようにしてほしいですね。

標本などではあの美しい色は褪せてしまうようなので、一度は実際の目でその美しい姿を見てみたいものです。

(ライター もんぷち)