キマダラカメムシをご存知でしょうか?
あ、見たことある!と思う人も多くかもしれませんが、本当に見たことありますか?
よく観察すると実は日本に多く生息しているクサギカメムシとの違いが見えてきます。
今回はそんなキマダラカメムシについて詳しくお話しします。
キマダラカメムシの特徴
キマダラカメムシはカメムシ目カメムシ科の昆虫で台湾、中国、東洋区、日本では九州、沖縄本島、石垣島に分布し、市街地、都市部の街路樹や庭木のある所に生息しています。
原産は台湾~東南アジアを原産地とする外来生物で、日本国内には長崎県出島から侵入し、その後各地に分布を拡げたとされ、1770年に初めて出島で発見されました。
近年は分布が北上しており、2006年には岡山県で、2010年には東京、2011年には愛知県で生息が確認されています。
成虫の体長は20~23㎜で国内に生息するカメムシ亜科では最大種の大型カメムシ。
雌雄の体格差はほとんどありません。
頭部は複眼より前方の吻が長く面長な様相で、触角は黒褐色ですが先端第1節の根元に白い帯があります。
前胸側縁は棘状に尖っていて体色は艶の無い黒褐色。
前胸背板から前翅に淡黄色の細かい斑点が密生し、同じく淡黄色の線条が頭部~前胸背板の真ん中に入り、頭部背面の縁取りも同じ色で入ります。
腹部も節ごとに黒褐色と淡黄色が繰り返される縞模様が入り、背面のたたまれた前翅、後翅の両側面にその模様が露出します。
幼虫の体色は黒褐色をしておらず、若齢は淡褐色に黒と朱の横縞模様が背面全体に並び、老熟幼虫は粉を吹いたような暗い灰色に、規則的なオレンジ色の星が並びます。
食草はサクラ、カキノキ、フジ、ニセアカシア、クワ、エノキ、ウメで、夏季に関してはその果実からも盛んに吸汁し、リンゴの果実は飼育下で代用品になります。
発生時期は4~11月で成虫で越冬します。
越冬時は家屋に侵入したり、樹皮の裏側や割れ目、樹洞などの隙間に潜り込みます。
キマダラカメムシとクサギカメムシの見分け方
クサギカメムシは北海道から沖縄まで広く分布しているカメムシで古くから豆類や果樹の害虫として知られています。
ごく普通にみられる種類で山野にも普通ですが耕作地にも出現することが多く、多色性で幅広い植物について越冬の際には人家に入り込むこともあります。
悪臭を出す性質もあり、衛生害虫としても知られています。
体長は13~18㎜で全体の形としては典型的なカメムシの形をし、腹背にやや扁平です。
全身は前翅の膜質部を除いてほぼ一様な褐色系の色ですが、明暗には個体差があり、実際にはわずかにまだらの模様や一面に細かな黄褐色の斑点が入ります。
頭部は突き出しますが先端が狭まらず幅広く丸いのも特徴です。触角は体色と同色で関節部分が白くなっています。
前胸は両肩があまり強く突き出さないのも特徴。前胸の前縁に4つの小さな斑点が並び、腹部は中程がやや幅広くなり、たたんだ前翅の両側に少しはみ出します。
食草はマツ、イチイ、スギ、サクラ、キリなどで繁殖と幼虫の成長もここで行われます。
個体によってキマダラカメムシと非常によく似ているものもいて一目では見分けがつきにくいですが、ポイントは淡黄色の線条が頭部~前胸背板の真ん中に入っているかどうか。
更に大きさ的にもキマダラカメムシの方が多少大きめで、触覚や肢に入る白紋もよりはっきりしています。
頭部の先端が丸まっているのはクサギカメムシで尖っているのがキマダラカメムシです。
キマダラカメムシのまとめ
キマダラカメムシは台湾、中国、東洋区、日本では九州、沖縄本島、石垣島に分布し、市街地、都市部の街路樹や庭木のある所に生息している。
体長は20~23㎜の大型で淡黄色の線条が頭部~前胸背板の真ん中に入っているのが特徴でクサギカメムシとの見分け方もそこがポイント。
(ライター ナオ)