クロマルハナバチはハチの一種ですが農業への活用にとって業界内では注目されています。
正しく利用すれば生産効率の向上というメリットを得られますが、懸念されている問題もあります。
ハナバチの仲間には本種と似ている種もいますが、身体的な特徴や生態を比べることで見分けることが可能です。
クロマルハナバチの概要
ミツバチ科に分類され花の蜜を餌にしているハチです。
日本では北海道より南で生息し基本的には暖かい気候を好みます。
ミツバチと同様に女王バチや働きバチが存在します。
大型のハチであり見た目も似ていることからクマバチとよく見間違えられます。
しかし人を襲うことはなく大人しい性格をしているので害虫となることはほぼありません。
見た目の特徴
クロマルハナバチは2センチ前後まで成長します。
ミツバチ科としては大型ですが、口吻が短いので花筒が短く、蜜に届きやすい花を好みます。
また、花筒に穴を開けて盗蜜を行う特徴もあります。
体形は丸みをおびており全体的には黒っぽく、腹部の先端は鮮やかなオレンジのカラーが配色されています。
他種との見分け方
まずはクマバチとの見分けについてです。
見た目の共通点が多くサイズやカラーまで似ていますが、クロマルハナバチは胸部の黒さや腹部先端のオレンジ色が特徴なのでよく観察することで見分けることができます。
オオマルハナバチとは近縁種で習性も似ています。
しかし生息地がこちらのほうが標高の高い場所に分布する傾向があり、見た目も、口吻の長さに違いがあります。
オオマルハナバチはクロマルハナバチよりさらに口吻が短いですが、どちらも口吻が短い種であることには違いありません。
コマルハナバチとは色合いがにています。
この場合には体毛によって見分けることができます。
クロマルハナバチのほうは毛足が短く、毛並みも整っています。
これに対してコマルハナバチはややボサボサとした毛足となっています。
巣の特徴とその応用
クロマルハナバチの営巣は5月から10月頃に行われ、巣の規模も大きめの部類に入ります。
あまり人目につくような場所に巣を作成することはなく、土の中などに形成されていきます。
そのためネズミなどの小動物が開けた穴を利用することもあるようです。
このように巣作りをする場所として直射日光が当たらないような場所がよく選ばれます。
セイヨウオオマルハナバチとの関係
セイヨウオオマルハナバチとはヨーロッパ原産の近縁種で、農業利用のため日本に持ち込まれるようになりました。
温室におけるトマト栽培で、花粉の媒介を行う昆虫として利用されていました。
しかし国内で大量に増殖することで国内の生態バランスが懸念されるようになり、もともと日本にいたクロマルハナバチを後継として活用し始めました。
どちらも受粉を助けることで生産効率を上昇させることに成功しましたが、クロマルハナバチにしても人工的に増殖させることで他の生物や植物への悪影響が問題視されています。
クロマルハナバチの管理システムを整える
問題を起こさないためには適切な管理をする必要があります。
それを実現するためにクロマルハナバチの営巣方法などを研究し、正しい方法で飼育ができるように開発が進められています。
箱形の飼育システムを形成し、その内部にクロマルハナバチの巣が作られるようにします。
温室内でこれを使うことで実用性を高めることに成功しています。
しかし大量の本種が外部に出てしまうと特定地域の環境を変化させてしまう可能性があります。
逃げ出さないよう網目の細かいネットを利用するなど工夫をすることも必要です。
クロマルハナバチの見分けは体色や毛並みでできる
このように、クロマルハナバチは受粉媒介昆虫として利用されます。
これと似た性質や見た目のハチもいるので大きく丸っこい体と短く整った毛並みで判別してみると良いでしょう。
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