角のあるカメムシを見たことがありますか?そしていい匂いのカメムシの臭いを嗅いだことがありますか?

今回はそんなちょっと変わったツノアオカメムシの特徴や見分け方について詳しくお話しします。

ツノアオカメムシの特徴

ツノアオカメムシはカメムシ目カメムシ科に分類され、朝鮮半島、中国、ロシア南東部、日本では北海道から九州まで分布し山地に生息しています。

体長は17~24㎜で体色は緑色の金属光沢があり、体表は密に点刻され、点刻部が緑色をしていることでざらついているように見えます。

前胸背側角は幅広で尖っていて、これが名前の由来にもなっていますが幼虫は茶褐色で角も生えていません。

 

一般的にカメムシは5回の脱皮を繰り返し、5齢虫が脱皮すると成虫になりますが、5齢虫から成虫になる時に最も大きく変化すると言われ、5齢虫までの姿から成虫を良そうするのは難しいとされています。

 

エサはニレ科、カバノキ科、ブナ科、ムクロジ科、ミズキ科などの汁で4~8月にかけて出現します。

他の多くのカメムシと違い柑橘系の爽やかな匂いを発します。

 

口器は鞘状の興奮に包まれる形で中に口針があります。

写真の折れ曲がった肌色の口器が口吻で、平常時は真っすぐになっています。黒色の細いのが口針で口吻が曲がった分口針が深く刺さります。

口針からは消化液が注入され、その後消化物を吸収します。

アオクチブトカメムシとの見分け方

アオクチブトカメムシはカメムシ目カメムシ科に分類され北海道から九州まで広く分布しています。

金緑色に輝く美しいカメムシで胸部の側角が鋭く尖っていて、口吻が太いのが特徴です。山地の樹上に生息し、蛾や蝶の幼虫を捕らえて体液を吸います。

 

ツノアオカメムシとの見分け方は側角がまっすぐ突出していること。そして体形がアオクチブトカメムシの方がほっそりとしていることです。

ツノアオカメムシの側角は幅広く、先端が斜めに切れて赤くなっています。

カメムシなのに良い香り!?

カメムシと聞いただけでどこからかあの強烈な臭い匂いが漂ってきそうな気がしますが、実は先述した通りツノアオカメムシはとても良い香りがします。

 

通常、カメムシは刺激を与えられたり、危険を感じたりすると両側の前肢付け根にある臭腺開口部から油性の液体を発し、その臭いはパクチーや古い油などと表現されるように決して良い匂いではありません。

 

しかし、これは防衛反応ではなく仲間に危険を知らせるための忌避行動を促すためのもの。

臭いは大量のカメムシを瓶などの狭い空間に閉じ込めた場合、自分の出した臭いで気絶するということもあるほど強烈です。

 

一方、そこまで強烈な匂いを発しないこともあり、その場合は集合フェロモンとしての役割を果たすのだそうです。

そういうことであるなら、良い香りのカメムシがいてもおかしくはないわけで・・・・。

 

ツノアオカメムシは柑橘系の、オオクモヘリカメムシやキバラヘリカメムシは青りんごのような爽やかな香りを発します。

体から発せられる臭いは食性によって違いが出てくるわけで、ツノアオカメムシはニレ科、カバノキ科、ブナ科、ムクロジ科、ミズキ科などの樹液や果実の汁、オオクモヘリカメムシはカキやミカンなどの果実の汁を吸います。

 

キバラヘリカメムシはニシキギ科のマユミやニシキギ、ツルウメモドキなどの実を好んでいます。

いずれも草本ではなく樹木という点が何か関係しているのかもしれません。

ツノアオカメムシのまとめ

ツノアオカメムシは前胸背側角は幅広で尖っていて、これが名前の由来になっている。

体色は緑色の金属光沢があり、体表は密に点刻され点刻部が緑色をしていることでざらついているように見える。

柑橘系の爽やかな匂いを発する。

(ライター ナオ)