ネアカヨシヤンマというトンボをご存知でしょうか?

ヤンマ科に分類されるトンボですが最近は個体数も減り、なかなか目にすることが少なくなりました。

今回はそんなネアカヨシヤンマの特徴や見分け方について詳しくお話していきます。

ネアカヨシヤンマの特徴と生態

ネアカヨシヤンマはトンボ目ヤンマ科に分類され中国と日本の本州、四国、九州、伊豆大島、淡路島などに分布し、平地や丘陵地のヨシが繁茂した沼地や周辺に葉や茂みのある所を好んで生息しています。

体長は78~8㎜と大型で体色は黒っぽく、前翅の基部は橙色でこのこととヨシなどのある地域に生息することから名前がついたと言われています。

翅端に褐色班があり、メスの翅は全体が淡橙色です。

昼間は木の枝などにぶら下がって休み、朝夕の太陽が無い時間帯を主な活動時間にし、日が落ちて辺りが暗くなると活動を止めます。

 

エサは昆虫などですが、空中に網を張ったクモを狩ることもあり、網の真ん中に体当たりし、クモがびっくりして糸を引いて逃げるところを捕らえます。時にはオニグモなどの大型の蜘蛛を狙うこともあるようです。

 

その為、ネアカヨシヤンマの成体にはよく蜘蛛の巣がかかっているところを見かけます。

ネアカヨシヤンマは湖沼の開発などで生存への脅威が危ぶまれており、埼玉県では準絶滅危惧種に、群馬県では絶滅危惧種に指定されています。

ネアカヨシヤンマの雌雄の見分け方

ネアカヨシヤンマのメスは朽ち木や泥土などに産卵するのでかなり鋭い産卵管を持っているのでそこで見分けることができます。

オスは成熟すると複眼が綺麗なブルーになり、腹部の根元付近、腹部第二節を見ると、この部分に複雑な副生殖器があります。

通常のトンボは横から見るとそのでっぱりがわかりますが、ヤンマ科のトンボの場合は横からはあまり目立たず、裏返すとはっきりと確認できます。

アオヤンマとネアカヨシヤンマの見分け方

アオヤンマは蜘蛛を食べる大型のヤンマで北海道から九州、四国まで生息していますが、九州はごく一部の件でしか確認されていません。

雌雄とも全身黄緑色をしていて葦が沢山茂っているような池沼に生息します。

 

他のヤンマと違い腹部第3節がくびれておらず寸胴ですが、これはネアカヨシヤンマにも共通する特徴で、両者の見分け方は翅の根元の色と生息域で行います。

ネアカヨシヤンマは平地や丘陵地の葦やマコモなどの茂った沼地に生息し、成虫は6月中旬~9月上旬まで現れますがアオヤンマの場合は比較的低湿地の開けた沼地に生息しています。

大きいトンボはみんなヤンマ?

大きいトンボはみなヤンマ科のトンボと思われがちですが、実はヤンマ科のトンボではない大型のトンボも存在しています。

そこでヤンマ科のトンボかどうか見分ける方法をご紹介します。

 

大きなトンボを捕まえたら前翅の根元近くにある三角室の形を確認します。

この部分が縦長だったら大きくてもトンボの仲間、横長だったら小さくてもヤンマ科です。

つまり前翅の微妙な網目模様で確認できるのです。

ネアカヨシヤンマのまとめ

ネアカヨシヤンマは翅の根元部分が橙色であることとヨシの茂る湿地を好むことから名前が付けられた。

近年、生息数の減少から絶滅危惧種に指定されている地域もある。

 

アオヤンマと似ている部分もあるが、翅の色や生息環境で見分けることができる。

ネアカヨシヤンマの雌雄はトンボを裏返して腹部の副生殖器や産卵管、オスの複眼の色などで確認することができる。

大型のトンボはヤンマ科でない場合もあり、前翅の三角室の形で見分けることができる。

(ライター ナオ)