夏の川にぴったりの昆虫、カワトンボ。
綺麗な翅色をして優雅に飛んでいく姿は川遊びを一瞬やめて見入ってしまいます。
川のせせらぎと、じりじりと暑い日差しと、冷たい水の感触と、カワトンボの記憶が一体化しているのはきっと私だけではないはず。
今回はそんなカワトンボの中の日本の固有種、ニホンカワトンボについて詳しくお話ししていきます。
ニホンカワトンボの特徴
ニホンカワトンボはカワトンボ科カワトンボ亜科カワトンボ属の中型のトンボでロシアの千島列島、日本に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に広く分布しています。
成虫の全長はオスが50~68㎜、メスが47~61㎜。未成熟な個体はメタリックな青緑色で成熟した個体は腹全体に白い粉を吹くのが特徴です。
オスの翅は橙色翅、淡橙色翅、無色翅の3タイプがあり、メスの翅は淡橙色翅と無色翅の2タイプがあります。
生息する地域によって翅色のタイプが異なり、橙色翅型の成熟下オスは翅上部に不半透明の班があり、縁紋は赤褐色、未成熟の物は淡橙色翅型に近い色合いで縁紋は白色です。
東日本、伊豆地方、隠岐諸島、四国のニホンカワトンボはオスが橙色翅か無色型、メスが無色型、中部日本の個体はオスが橙色翅型でメスが淡橙色翅型と無色型、更に西日本の個体はオスが橙色翅、淡橙色翅、無色型に分かれ、メスが淡橙色翅型、無色翅型に分かれます。
九州南西部の個体はオスが橙色翅型でメスが淡橙色翅型です。
平地や丘陵地の抽水植物が生育する中流域の緩やかな流れの清流に生息しています。
オスは水辺の植物や石に止まって縄張りを作り、近づいてきた他のオスを追い払います。メスが現れるとホバリングして求愛行動をとり、メスは朽ち木などに産卵します。
5月中旬から8月初旬にかけて産卵、2~3週間を卵の状態で過ごし、1~2年で成虫になります。
アサヒナカワトンボの見分け方
朝比奈カワトンボは、もともとはニシカワトンボ、ヒウラカワトンボと呼ばれていたトンボです。
ニホンカワトンボとは雑種も知られていて、非常によく似ているトンボと言われています。
アサヒナカワトンボとの見分け方は、ニホンカワトンボの方が翅脈が密で縁紋が細長いこと。
目から目までの頭幅に対する翅胸高の日が大きいのがニホンカワトンボ、つまり、胸部分が顔の幅よりも広いということ。
逆に、アサヒナカワトンボは同じ比が小さいのが特徴ともいわれていますが、地域差もあり、確実ではないのだそう。
更に、翅の色で見分ける方法もありますが、地域や型によってとても複雑になるので、大変です。
ハグロトンボとニホンカワトンボの見分け方
日本のカワトンボ科に分類されるトンボの中で多くみられるカワトンボの中でニホンカワトンボとはまた一味違った美しさを誇るのがハグロトンボ。
ニホンカワトンボとの見分け方は翅の色で一目瞭然ですが、少しご紹介しておきます。
ハグロトンボは東アジア、北米に分布し、日本国内では本州、四国、九州の平地から低山地のヨシやバイカモ等が茂る緩やかな流れの場所に生息しています。
黒い羽が特徴で斑紋などはなく、オスは体色が全体的に黒く、緑色の金属光沢がありますが、メスは黒褐色をしています。
まるで蝶のようにひらひらと舞うようにはばたく姿は育ちの良いトンボ!?のようでとても優雅です。
体長は57~67㎜、トンボとしてはやや大型です。メスの方がオスより若干大きめ。
成虫は5~10月頃まで見られ、特に7~8月に多く飛んでいます。
ニホンカワトンボのまとめ
ニホンカワトンボは日本に広く分布しますが、地域によって翅色にちがいがある。
アサヒナカワトンボとは翅脈と縁紋で区別がつく。
(ライター ナオ)