セイボウという綺麗な寄生バチをご存知でしょうか。漢字で書くと青峰と書く昆虫です。
日本にもこんなにカラフルな昆虫がいたのかと目を奪われるほどの昆虫。彼らは同じハチの中まであるドロバチに寄生することで生き残っている寄生バチ。
今回はそんな綺麗だけどちょっとずるい!?セイボウについて詳しくお話していきます。
セイボウの特徴と生態
セイボウはハチ目セイボウ科に分類される昆虫。セイボウ科のハチは世界に1500種以上いて、日本にも38種類ほどが生息していると言われています。
いずれも金属光沢が美しく、寄生性でトックリバチ類、ドロバチ類、ハナバチ類、ハキリバチ類など泥や筒などに巣をつくるハチに寄生します。
体表は硬いキチン質の点刻が刻まれた皮膚に覆われ、腹節は普通3節ですが2~5節のものもあります。
腹部背面は強く膨らんで一方腹面は凹んでいて、驚いたり刺激を受けると腹部を胸部の下に折り曲げて身体を球状にします。
産卵管は長い望遠鏡の内筒のように腹部内に引き込まれていて通常は腹部内へ収納されています。
トックリバチやスズバチ等は秋に巣をつくった後、エサとして捕らえたアオムシに麻酔をかけて生きたまま巣の中に貯蔵していきます。
その後巣に産卵し、巣の穴を塞ぎます。
順調にいけば卵は孵化すると巣の中の幼虫をエサとして成長し、翌年の春には蛹になって羽化した後、巣を出ていくのですが、セイボウはこの巣やトックリバチたちが自分の子孫を残すために集めてきた蛾の幼虫などを狙って泥の巣に穴を開け、そこに卵を産み付け、彼らの幼虫の為の餌を横取りしてしまうのです。
日本のセイボウの種類と特徴
オオセイボウ
オオセイボウは本州、四国、九州、沖縄に分布していて体長は12~20㎜。6~10月にかけて発生します。
全身が金緑色や金青色に輝いていてとても美しいセイボウです。
オオセイボウは泥の巣に穴を開けて卵を産み付けます。
ハラアカマルセイボウ
ハラアカマルセイボウは体長が8㎜。金緑色で腹部が赤色なのが特徴的です。
腹部は丸みを帯びていて幼虫はツチスガリ類の巣に寄生して育ちます。発生時期は6~9月でオオセイボウとは腹部の赤色で見分けることができます。
リンネセイボウ
リンネセイボウは日本全土に分布しています。
体長は4~15㎜程で腹部背面は全体赤色をしており、頭胸部は緑色、尾端に4つの歯があるのが特徴です。
ムツバセイボウ
ムツバセイボウは北海道から琉球諸島に分布する体長10~12㎜程のセイボウです。
頭胸部は紫青班を持ち、腹部は紫青色で各節後緑に紅金色または緑金色の横帯があります。
腹部末端には6つの歯を持つのが特徴です。幼虫はヤマトフタスジスズバチに寄生します。
クロバネセイボウ
クロバネシボウは体長8~13㎜のセイボウで腹端に4歯の突起を持っています。
ミドリセイボウ
ミドリセイボウは本州、小笠原諸島、四国、九州、奄美諸島、琉球諸島に分布しています。
体長は10~13㎜で体は緑色から青緑色。腹部待ったには5歯を持っているのが特徴です。幼虫はヤマトルリジガバチに寄生します。
セイボウのまとめ
セイボウ類は主に腹端の歯の数で見分けることが多いようです。
4歯のセイボウはクロバネセイボウ、タイリクセイボウ、ホソセイボウ、リンエシボウ、ナメハセイボウ、コマチセイボウ、ノヒラセイボウ、ツマアカシボウ、ツマムラサキセイボウ、ヨシブエセイボウ、オオセイボウです。
橋の欄干など、ドロバチが巣をつくりそうな場所を探すとセイボウ達を見ることができるかもしれません。
皆さんもどこかでメタリックで小さいハチを見かけたらよく観察してみて下さい。
(ライター ナオ)