アオモンイトトンボというイトトンボを見たことがありますか?
まるでワンポイントのおしゃれのように綺麗に入った水色の紋は思わず目を惹きます。
今回はそんなアオモンイトトンボについて特徴や見分け方などを詳しくお話しします。
アオモンイトトンボの特徴と生態
アオモンイトトンボはイトトンボ科の昆虫でアフリカから中東、南・東アジアにかけて広く分布し、日本では岩手県南の太平洋側、関東以南の本州から南西諸島まで分布しています。
平地の池や沼等、主に流れが無いか緩やかな水辺でよく見られ、環境の攪乱や塩分を含んだ水域、汚れた水辺にも生息しますが手つかずの森林などには見られません。
体長は30~35㎜で4~11月にかけて発生します。
オスは胸部側面が美しい淡緑色で腹面が青色をしています。
メスには赤橙色の胸側に腹部側面が緑色の色彩のもの、胸側が黄褐色で腹部側面が緑褐色の色彩のもの、オスと同様の色彩の物があります。
赤橙色の胸側の個体は未熟個体であるともいわれていて、実際には2種類だという説もあるようです。
アオモンイトトンボのメスの変異性のわけ
このようなメスの型に変異がある理由として、ある研究によるとオスがメスを見つけにくくし、執拗に交尾を迫るようなことを減らし、結果として集団の増殖性や安定性を高めるためであるとされています。
これは最終的には集団の絶滅リスクを減少することにもなると考えられています。
オスとメスの見分け方
アオモイトトンボのオス型のメスはオスにそっくりです。副性器の有無で見分けることができます。
副性器は腹部第2.3節にあり、メスはこの副性器がない代わりに第9節に産卵管があります。
副性器は横から見えにくく、裏返すとはっきりとその有無が確認できます。
更に腹部第10節の先にはメスには尾毛と呼ばれる器官が、オスには上付属機、下付属機と呼ばれるものがついていて交尾の時に使われます。
マンシュウイトトンボとのアオモンイトトンボの見分け方
マンシュウイトトンボは北海道と青森に分布していて、池や沼に生息しています。
オスの体長は31~40㎜、メスが32~41㎜程で大きさ的にも紋の入り方にしてもとても良く似ています。
見分ける時のポイントは生息域。
アオモンイトトンボが岩手県南部以南であるのに対し、マンシュウイトトンボの生息域は更に住む
アオモンイトトンボに似ているイトトンボにマンシュウイトトンボがいます。しかし両者は生息域が違うため混在することはありません。
アジアイトトンボとのアオモンイトトンボ見分け方
アジアイトトンボはアオモンイトトンボと同じアオモンイトトンボ属に分類されるトンボで日本では北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布していて、平地から丘陵地の水生植物の多い池沼や湿地、水田などで見られます。
オスは胸部が黄緑色で腹部第9節が青色、メスは胸部が緑褐色。
体長は腹長約20~25㎜、後翅長12~19㎜でアオモンイトトンボ属の中では最もスリムで小さい種類です。
アジアイトトンボとの見分け方は大きさと紋の位置。アジアイトトンボはアオモイトトンボよりも小さく青色の紋が第9節に紋があります。一方アオモンイトトンボの場合は第8節にあります。
また、アオモイトトンボのメス型のメスの羽化直後の個体とアジアイトトンボのメスの羽化直後の個体は色も大きさもとても良く似ていて、両者の区別は成熟するまで観察を続けること以外にはないようです。
アオモンイトトンボのまとめ
オスは第9節に青色の紋の入る綺麗なイトトンボ。メスには2~3の型があると言われ、その理由は種の絶滅を防ぐためではないかとされています。
(ライター ナオ