私たちの身近なところでよく見かけるトンボと言えば「ギンヤンマ」ですよね。
しかしギンヤンマにも、いくつか種類があることを知っていましたか?
今回はそんなギンヤンマの中から、「クロスジギンヤンマ」について、ピックアップしてみましょう。
そっくりなギンヤンマとの見分け方や、クロスジギンヤンマならではの特徴などもしっかりとご紹介します!
クロスジギンヤンマの特徴は?
クロスジギンヤンマは、ぱっと見では普通のギンヤンマと大きな違いはありません。
しかし、細かなところで異なる特徴を持っているので、それらを確認することで見分けることは可能です。
まず大きな特徴は、名前の由来にもなっている、胸部に入る2本の太いラインです。
また、頭部にT字状の紋がクッキリと表れているのも特徴の一つ。
飛行している時には当然ですが見えにくいので、捕まえるか、どこかに止まった時を狙って観察してみましょう。
クロスジギンヤンマの体長は80㎜前後で、ギンヤンマに比べると少し大きめ。
オスとメスでカラーリングが多少異なり、メスは複眼から腹部にかけて緑色がベースなのに対し、オスは複眼、胸部、腹部の斑紋がとても鮮やかな水色になっています。
あまり虫が好きではない筆者ですが、とても美しいと思えるほどきれいな水色なので、ぜひ一度見てみてほしいです!
そしてもう一つ、飛び方にもギンヤンマとの違いがみられます。
翅が比較的長いギンヤンマに対して、クロスジギンヤンマは体格の割に翅が短く、飛び方も緩やかです。
捕獲時の難易度としては、圧倒的にクロスジギンヤンマの方が簡単でしょう。
ちなみに、ギンヤンマとクロスジギンヤンマは、ヤゴもそっくりです。
唯一見分けやすいポイントとしては、下顎を下から見たとき、カギのような形状をした突起の先が、なだらかなカーブか角ばっているかで判断が可能。
なだらかな場合はクロスジギンヤンマ、角ばっている場合はギンヤンマです。
クロスジギンヤンマの生態
クロスジギンヤンマの生息地は中国、台湾、フィリピンなどで、日本では本州以南の広い範囲に生息しています。
しかし地球温暖化の影響か、近年では北海道南部でもその姿が確認されたそう。
もしかすると今後、どんどん生息域は北上していくのかもしれませんね。
成虫の発生時期はギンヤンマよりもやや早く、春ごろから初夏(4月~6月頃)にかけて。
まれに秋ごろに見かけることも。
やや暗い林やその近くにある池や沼の周辺などに好んで生息しています。
山間の池などに出向くと、必ずと言っていいほどその姿を見ることができるでしょう。
ギンヤンマを含め、トンボは産卵時にオスとメスが一緒にいることが多くあります。
しかし、クロスジギンヤンマは交尾後、メスが単独で卵を産むというのも特徴ですね。
こうして生まれた卵が孵ってヤゴになり、水中の小魚や虫を食べて成長。
冬の間はそのまま水の中で幼虫として過ごし、温かくなってくると水上に出て羽化をするのです。
他のトンボと同じく、冬を迎える前に死んでしまうので、寿命はそう長くありません。
見かけたら捕まえたくなってしまうでしょうが、飼育下では成虫は数日しか生きられない場合も多く、観察するだけしたら自然に還してあげるのが一番でしょう。
クロスジギンヤンマについてのまとめ
クロスジギンヤンマは、ヤゴも成虫もギンヤンマととてもよく似ているトンボです。
しかしヤゴは顎の突起の形、そして成虫は体の大きさやラインの有無などで見分けることができます。
ギンヤンマとは生息環境も異なるので(ギンヤンマは平地の広い水面に多い)、見分けるのもそう難しくないのではないでしょうか。
もし見かける機会があれば、じっくりと観察してみてください。
(ライター もんぷち)