ゲンゴロウと言えば、かつてはそこら中で見ることができる、ありふれた昆虫でした。
しかし現在ではその数が激減しており、種によっては絶滅危惧種に指定されているものもあるほど。
今回はそんな絶滅の危機に瀕しているゲンゴロウの中から、「コガタノゲンゴロウ」について紹介したいと思います。
コガタノゲンゴロウの特徴って?
コガタノゲンゴロウは、一般的に「ゲンゴロウ」と呼ばれる「ナミゲンゴロウ」とよく似た姿をしています。
体は深緑色で光沢があり、丸く平たい体型が特徴的。
ただし、ナミゲンゴロウよりも一回り小さく、体長は25~29㎜ほど。
大きさ以外に違う点としては、腹面の色が挙げられます。
コガタノゲンゴロウが赤褐色なのに対し、ナミゲンゴロウは黄色味が強いのが特徴です。
そしてもう一種コガタノゲンゴロウによく似ているのが、「マルコガタノゲンゴロウ」。
マルコガタノゲンゴロウは本当によく似ていますが、名前の通り若干丸っこい体型をしていることと、腹面の色が若干薄い点で見分けることができます。
とは言え、やはり単体で見分けるのは難しいので、見慣れない人には両者を並べてよく見比べないと分からないレベルかもしれません。
コガタノゲンゴロウの生態
コガタノゲンゴロウは、本州から南西諸島にかけて生息している…のですが。
かつてはよく見られた本種も、近年では本州においてはほとんど見かけることがなくなったと言われています。
絶滅の危機があるとして、絶滅危惧種に指定されるほど。
生息地は平地から低山地にかけての、水田や水田脇の水路、ため池など。
水中での動きはとても機敏で、すばしっこくスイスイと泳ぎ回ります。
またナミゲンゴロウと同じくお尻部分に空気を溜め込み、そのおかげで長時間の水中活動が可能となります。
空気を補充するためにお尻の先を水面に出す姿は、ちょっとかわいいですね。
水棲昆虫なので一生を水の中で暮らすと思われがちですが、じつは普通にその辺を飛んでいたりもします。
特に夜は光に集まる習性もあるので、もしかすると街灯などに飛来する姿を見つけることができるかもしれません。
餌は小魚や昆虫、タニシなどの巻貝です。
可愛い顔して肉食というギャップが、面白いですね。
コガタノゲンゴロウは飼育できる?
絶滅危惧種にも指定されているコガタノゲンゴロウですが、じつは飼育することも可能です。
自分で採集してきたり、お店で購入することができますよ。
しかし!やはりそうは言っても絶滅危惧種なので、地域によっては採集が禁止されているところもあります。
そこは自治体などによく確認して、無暗に採集をしないように気を付けましょう。
そして、飼育自体の難易度も高めなようなので、ゲンゴロウの飼育に自信がある!という人でないと、長生きさせるのは難しそうです。
まず、人間にとってはとても小さな昆虫ですが、コガタノゲンゴロウは狭い空間をとても嫌います。
小さなプラケースなどでも飼えそうだと思われがちですが、それなりに大きなケースを用意しなければ、最悪の場合死んでしまうこともあるのだとか。
たとえ1匹でも、60㎝幅はあるケースまたは水槽を用意するのがベスト。
脱走してしまわないように、蓋つきのものを選びましょう。
また、日本に生息している昆虫と言えど寒さには弱く、水温が下がると溺死してしまう恐れもあります。
水温が15度を下回らないように、場合によってはヒーターなどでの加温が必要となります。
コガタノゲンゴロウについてのまとめ
コガタノゲンゴロウは、かつてはその辺の水田などでよく見られた昆虫です。
しかし今は絶滅危惧種になっており、地域によっては採集が禁止されていることも。
飼育の難易度は少々高めのようですが、ゲンゴロウ飼育に自信がある!という人は、ぜひチャレンジしてみてください。
(ライター もんぷち)