庭や公園などでよく見かけるアリ。
私たちの周りには様々な種類のアリがいますが、今回紹介するのはその中でも最も身近なアリのうちの一種「トビイロケアリ」です。
アリは小さい上にあまりじっくりと観察することも無いので、この機会にどれがトビイロケアリなのか見分けられるようになってみてはどうでしょう。
トビイロケアリの特徴は?
トビイロケアリは大きさ2.5㎜~3.5㎜ほどで、ケアリの中では大型の種に属します。
とは言っても、私たちから見れば大きくもなく、小さくもない…およそ「アリ」と聞いてイメージする大きさ通りという感じですね。
しかしこれは、私たちが目にする働きアリに限ってのお話。
彼らのリーダーである女王アリの大きさは、なんと体長7~8㎜!
働きアリの2~3倍は夕にあろうかというような巨体です。
体色は名前の通り「鳶色(茶~黒褐色)」をしており、働きアリの頭部が大きく発達しているのが特徴。
頭部や腹部に、20本ほどの毛が生えているのも特徴ではありますが…これは虫眼鏡でじっくりと観察しないと、肉眼ではあまり確認できないかもしれません。
同じケアリ属であるヒメトビイロケアリとはよく似ていますが、腹部の先がとがっているかどうかで判断することができます。
(とがっていないのが、トビイロケアリ。)
トビイロケアリの生態について
トビイロケアリは7月から8月にかけて「結婚飛行」を行います。
結婚飛行とは、新しい巣を作るために、オスとメスが元々いた巣から、新しい巣を求めて旅立つことです。
彼らは空中を飛行しながら交尾を行うのですが、交尾が終わるとオスはそのまま命を落としてしまうそう…。
そして子孫を宿したメスは巣を作れそうな場所を探し、そこで産卵。
巣は朽ち木や枯れ木近くの土の中に作られることが多いです。
基本的に一つの巣に女王アリは一匹しかいないので、初めの巣は女王アリが一匹入ってギリギリ身動きが取れるほどの小さいなもの。
そこから徐々に数百、数千と数を増やしていくのです。
トビイロケアリはアリの中でもたくさん子供を産むことで有名で、時には数万匹からなる巨大なコロニーになることもあるんだとか。
もしかしたら私たちの足の下にも、巨大なトビイロケアリの巣が広がっているかもしれませんね。
そしてもう一つ、トビイロケアリの面白い生態として、アブラムシとの共生が挙げられます。
アブラムシの天敵と言えば、言わずと知れたテントウムシ。
トビイロケアリはアブラムシを天敵であるテントウムシから守ることと引き換えに、アブラムシから蜜滴をもらうのです。
花や作物を育てている人にとってアブラムシは害虫ですから、それを助けるトビイロケアリにも、できるだけ近くにいてほしくはないですね…。
トビイロケアリは害虫?
トビイロケアリはシロアリのように家を食害する…ということはありません。
しかし、専門業者によると、シロアリに次いで駆除以来が多いのがトビイロケアリなんだそうです。
一体なぜ、害虫として扱われてしまうのでしょうか?
まずは単に「不快」という理由がとても大きいでしょう。
なにせ数が爆発的に増えますし、屋内に侵入して食品や家電に群がったりもします。
また皮膚の柔らかい場所などを刺されることもあるので、大した被害はないとは言え、放っておくわけにはいきません。
そして、彼らはシロアリと同様に家自体にダメージを及ぼす可能性もあるのです。
柱や梁などを直接食害するわけではありませんが、稀に朽ちた柱や壁のすき間などに営巣してしまうことがあり、その場合は木材の腐敗を加速させてしまう危険性があるそう。
もし家の周辺でトビイロケアリを見つけたら、少し用心するようにしてください。
トビイロケアリについてのまとめ
トビイロケアリは私たちにとってとても身近なアリの一種です。
そして繁殖力が強く大きなコロニーをつくることや、アブラムシとの共生関係にあることなどが特徴です。
公園などで観察するぶんには全く害はありませんが、稀に家に侵入したり家自体にダメージを与えることがあるので、少し用心しましょう。
(ライター もんぷち)