タマムシといえば、日本国内にも多くの種類が存在している甲虫のひとつ。

ヤマトタマムシとして知られるタマムシは美しい外見を持ち古代から珍重されてきた歴史を持ちます。

そんなタマムシ科の一種、ウバタマムシについて詳しくお話ししていきましょう。

ウバタマムシの特徴と生態

ウバタマムシは中国、朝鮮、台湾、日本では本州以南に分布しています。

体長35㎜内外で雌雄とも背面は金銅色で上翅に暗色の隆起条があるのが特徴です。体は長めの船形。

 

日本で珍重されてきたヤマトタマムシと比べると華やかな美しさはなく、かなり渋めの印象です。

ウバタマムシのウバは老女!?ウバのような皺と枯れた色合いからきているといわれ、まさしく納得の見た目。

 

幼虫は枯れた松材を食べて、成虫になるのに3年以上を要します。成虫は夏に多く出現しますが一部は越冬します。

東京近郊では絶滅危惧種に指定されるほど珍しい昆虫で生息地を見つけるのは難しいと言われています。

サツマウバタマムシとの見分け方

サツマウバタマムシはかつてよく見かける日本の固有種でしたが、1985年の記録を最後に記録が途絶えているウバタマムシ。

その理由としてはマツの枯死や殺虫剤の空中散布が減少の一因と考えられています。

ウバタマムシとはよく似ていますが違いはサツマウバタマムシの方が背面の隆起が平たく広がり、黒みが強いことと暖地に多く生息していること。

アオウバタマムシとの見分け方

アオウバタマムシは奄美大島以南に生息するタマムシで体色が緑色の金属光沢を帯びているのが特徴です。

ウバタマムシと比べると青色に見えることと、生息域が違うことで区別することができます。

成虫は琉球マツの葉を後食し、小楯板は非常に小さく背面からは確認できないほどです。

クロタマムシとの見分け方

クロタマムシはウバタマムシとはまた違う種類ですが地味な色という点でウバタマムシと共通しています。

北海道から沖縄まで広く分布していて、僅かに紫色を帯びた黒色のタマムシで幼虫は枯れた松の材の中を食べて成長します。

 

体長はヤマトタマムシより2周り程小型。

金色、緑色、青色を帯びる個体もいますが、隆起条がないという点で区別することができます。

ムツボシタマムシとの見分け方

ムツボシタマムシは栗の枯れ木に集まる小型のタマムシです。

北海道から奄美大島まで分布し、体長は7~12㎜、体色は紫黒色、紫胴色、青同黒色等の金属光沢があり、上翅に3対の黄緑色を帯びた紋を持っています。

 

紋はやや陥没しているのも特徴的で平地から山地の広葉樹、針葉樹の枯れ木に生息しています。

ウバタマムシとの違いは体の大きさと隆起条の有無。

タマムシの光沢

綺麗な光を放つタマムシ。

ウバタマムシには残念ながらタマムシのような光沢は見られませんが、その光沢がどうして生まれているかご存知でしょうか?

タマムシの色は構造色と言われ、見る角度によって光り方が違って見えます。

 

一般的に甲虫の翅の構造は外側からセメント・ワックス層、外表皮、外原表皮、内原表皮、表皮細胞の順に並んでいます。

タマムシの外表皮は更に層状構造になっていて、その層は20層にも及ぶのだとか。

その複雑な構造がタマムシの煌びやかな美しい体色を実現しているのです。

 

いかがでしたでしょうか。

タマムシと一言で言っても色々なタイプのタマムシが存在しています。

 

皆さんもどこかでタマムシを見つけたらその煌びやかさや渋さをじっくりと観察してみて下さい。

キラキラと光るタマムシだけでなく、よく見るといぶし銀の渋さのあるウバタマムシもお忘れなく!

これからの時期はタマムシゲットのチャンスですよ。

(ライター ナオ)