子供の頃の懐かしい思い出と共にあるゲンゴロウ。真っ黒なゲンゴロウはまるで水中にいるカブトムシのような存在感があります。

現在、残念ながら少なくなっているクロゲンゴロウですが、その特徴や他のゲンゴロウとの見分け方について詳しくお話ししていきます。

クロゲンゴロウの特徴と生態

クロゲンゴロウは本州、四国、球種に分布し平野部から丘陵地の水生植物の豊富な浅い池沼、湿地、水田、水田脇の水たまり、緩やかな流れの水路に生息し、小規模で浅い水域にも生息しています。

 

体長は20~25㎜で体形はやや扁平な卵型をしています。全身ほぼ黒色でやや緑を帯びた光沢があり、水中では光の当たり方により暗緑色に見えます。

上翅には3点刻列がアリ、翅端付近に小黄褐色紋を有します。雄の前附節の基部3節は吸盤状になっています。

 

成虫は水草の茎に5~7月頃に産卵し、幼虫は池沼の浅い部分安堵で5~8月に出現し、他の水生昆虫などを捕食します。

老熟すると岸辺に上陸し、土中で蛹化します。

 

新成虫は8~9月に出現し、水域内で10月頃に越冬し、3年程生存します。

成虫も肉食で700mほど飛翔し、ため池や水田を移動して生活しています。

他のゲンゴロウ類との見分け方

現小在日本には130種類ものゲンゴロウが生息していると言われ、それらのゲンゴロウを区別することはかなり難しいこととされています。

クロゲンゴロウはゲンゴロウの中でも大型のゲンゴロウになり、他の小型のゲンゴロウとは簡単に区別することができます。

 

小さいゲンゴロウの種類としてはコガタノゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウ、マメゲンゴロウ、クロマメゲンゴロウ、ケシゲンゴロウ、ツブゲンゴロウ、コツブゲンゴロウ、チビゲンゴロウ等がいます。これらのゲンゴロウの体長は凡そ2~7㎜程です。

 

区別がつきづらいのはナミゲンゴロウやなどの大型のゲンゴロウです。

ナミゲンゴロウは体長34~42㎜程で光沢のある卵型の体型をしています。クロゲンゴロウよりも若干大き目で、体色も緑色をしています。

 

またゲンゴロウモドキも同じく区別がつきづらい種類です。

体長は30~36㎜で日本国内では北海道、青森県、海外ではサハリン、ウスリー、シベリア東部から北アメリカ大陸北部にかけて広範囲に分布しています。

体型もゲンゴロウにそっくりなので専門家でも見分けがつきにくいとされています。

クロゲンゴロウの飼育方法

クロゲンゴロウは30㎝水槽で飼育が可能です。

砂利を敷いて水深は20㎝程にします。甲羅干しをする為に流木などで足場を作り、浮草や水草を入れると良い隠れ家になります。

飛び出すことがあるので水槽の蓋は必ず閉めるようにします。

 

エサは弱った水生小動物、小赤、メダカ、乾燥した煮干し、クリルなどを与えます。

適温は20~25℃で魚との混泳は不可能。同種を複数飼育する場合も喧嘩する可能性があるので流木や石などを多く入れるようにします。

 

幼虫は共食いをするので孵化したら分けるようにします。エサはアカムシを与え、10㎝程度になりエサを食べなくなった時点で蛹室を用意し、10日ほどで成虫になります。

産卵はホエイアオイなどの水草の茎の中に産卵します。

クロゲンゴロウの寿命は2~3年程です。特にかかりやすい病気などはありませんが伝染病などがあるので他の種と一緒に飼育するのは避けた方が良いでしょう。

絶滅危惧種のゲンゴロウ

多くのゲンゴロウが絶滅危惧種に指定されていますがクロゲンゴロウも準絶滅危惧種に指定されていて、都道府県レベルでも多くの地域で絶滅危惧種及び準絶滅危惧種に指定されています。

懐かしいクロゲンゴロウ。大人になってから改めて見ると、子供の頃とはまた違った見方が出来るかもしれません。

(ライター ナオ)