生物が生きていくうえでは欠かせない行為の呼吸。
呼吸とは空気中から酸素を体内に取り入れて二酸化炭素を体外に排出し、その過程で有機物を体内に生産するという行為です。
人間には言わずもがな肺という重要な器官や赤血球という酸素の運搬屋さんが存在しているわけですが、虫たちの呼吸はどうなっているのでしょうか。
虫の呼吸は基本、気門
アゲハ蝶などの幼虫をじっくりと見るとよくわかるように、体の脇にいくつかの丸い模様があります。
これがいわゆる気門というもので、顕微鏡や虫眼鏡(見えるかな?)でじっくりと見てみると、まるで人間の呼吸の様に定期的に動き、開いたり閉じたりするのがわかります。
ここから空気を取り入れて体内に巡らせていくのです。
筋肉質なつくりで定期的に開閉活動を繰り返す気門ですが、この動きの訳には2つ説があって、体内の酸素濃度を低くするため(酸素には有害物質も含まれていて、この濃度があまり高くなりすぎると昆虫にとっては打撃が大きいから)と呼吸による体内の水分の蒸発を防ぐためと考えられています。
ちなみに水中にいる昆虫にはエラが発達しているものが多く、ボウフラやタガメはお尻の部分に呼吸管のような気門があり、それをシュノーケルのように水上に出すことによって空気を取り入れています。
子供達の人気者!水中昆虫代表のゲンゴロウなどはちょっと高度なテクニックを使っています。
彼らは羽の間に空気をためておいて、水中にいながらにして必要な時にその空気を気門から取り入れて呼吸しているのです。
また、カワゲラなどは皮膚呼吸をていると考えられています。
水中で越冬をする水カマキリなども皮膚呼吸をして冬を過ごしていると考えられています。
昆虫にはたいてい頭部に2対、腹部に8対ほどの気門があります。
この気門が直接気管とつながることによって体中に酸素を運ぶのです。
細かな気管は体中張り巡らされています。
体を動かすことによって体全体の気管に酸素がおくられるというわけです。
気門のないクモの呼吸
クモは足が8本あり、学問上では昆虫に分類されません。
節足動物という分類になり、そのため呼吸方法も昆虫とは少し違っています。
クモの体内には書肺という機能が備わっています。
腹部に1~4ほどの書肺があって、ここが人間の肺のような役割を果たすのです。
蟹の陸上の呼吸方法は?
蟹も昆虫ではありませんが、私たちの比較的身近にいる水辺の生き物です。
海に海水浴に行ったら子供達と一緒に岩場の陰でスルメを餌に蟹釣り、した経験はありませんか?
蟹は水中生物なので、普段はえら呼吸をして水中で生活しています。
でも、時々甲羅干しをしに岩場に上がってきたり、陸上をチョロチョロする姿を目にしたことがありますよね?
こんな時蟹たちはどこで呼吸しているのか?
実は陸に上がっている時でもやっぱり蟹たちはエラで呼吸をしているのです。
体に空気を蓄えるているゲンゴロウとは逆で、蟹は体の中に水分を蓄わえる場所があって、その水分中に溶けている空気をエラから取り入れているんです。
ゴキブリは!!??
最後にあまり知りたくないかもしれなませんが…ゴキブリのはなし。
ゴキブリの気門も多くの昆虫にもれずに足の付け根当たりの胴体部分にあります。
ゴキブリだってこの気門から空気を取り入れることによって呼吸しているわけです。
思わず家の中を走り回るゴキブリを見つけた時は、スリッパなどでたたいたりせずに、すぐさま殺虫剤でゴキブリの気門付近をねらいまょう!
つやつやと光っている背中を狙うよりも薬剤の効きがはやく、あっという間にコロッといってしまいますよ。(ご愁傷様)
(ライター ナオ)