驚異の擬態ぶりを発揮するナナフシですが、今回ご紹介するサカダチコノハナナフシはコノハムシとナナフシのどちらにも似た性質を持つ昆虫で名前の通り、逆立ちをするんです。

ナナフシとは?

まずはサカダチコノハナナフシが分類されるナナフシについて簡単にお話しておきます。

日本ではナナフシは本州から九州、沖縄までの幅広い地域に生息しています。

ナナフシは基本的には雌雄がいて、交配して産卵するのですが、中には単為生殖する種類もいて、オスが非常に珍しいという種類もいるようです。

 

卵は硬い卵殻に覆われていて、これも一見すると植物の種のようです。

卵までも植物に擬態させているのかもしれません。

枯れ葉のある地面のような所にばらまく様に産卵するので、本当に植物の種子と区別がつきません。

 

卵の大きさは3mmほどで、越冬は卵の状態でします。

翌春に卵から孵化する幼虫は10mmほどの大きさがあり、一体どうやってこの大きさの幼虫が卵の中にいたのかと思うほどです。

 

孵化した幼虫はクヌギやナラ、ヤナギなどの葉を食べるようです。草食性で、昆虫などは捕食しません。

昼間はほとんど動かずに身を潜め、夜にむしゃむしゃと一気に葉っぱを食べます。

 

翅も完全に退化していますので、飛ぶことも出来ません。

唯一、持っている防衛手段は、敵に襲われたときに自らの脚を切って逃げるという、自切行動をとるということでしょうか。

 

しかし、脱皮の回数を重ねた終盤の成虫に近い状態のナナフシには、ほとんど再生能力はないようで、新しい脚が生えるのも若いうちだけということのようです。

相手を攻撃する棘も針もない、捕まったとしても決してジタバタしたりしない、飛べないし、逃げ足は遅い・・・・・。

 

ここまでか弱い昆虫ですから、唯一人間をも騙してしまうほどの見事な擬態を手に入れたということなのでしょうかね。

ナナフシのように、ただ身を潜めるだけの擬態の仕方を隠蔽擬態というのだそうです。

逆に蜘蛛のように擬態して獲物を狙う擬態を攻撃擬態というそうです。

サカダチコノハナナフシの特徴

サカダチコノハナナフシはナナフシ目コブナナフシ科に分類される昆虫です。

体長はオスが80~110㎜、メスが145~205㎜で、体重はオスが150~250g、メスが350~500gと昆虫の中で最も重いのではないかと言われる程の大型です。

 

マレー半島に生息し、草食性で、沢山の葉を選り好みなく食べます。

草食性でここまでの大きさに成長するのだから、どれだけの葉を食べてるんだ!というレベルですが、普段は擬態しているうえに、動作もゆっくりなので、エネルギーをあまり消費しないということも身体が大きい理由のひとつなのかもしません。

 

もちろん、卵の大きさも5~9㎜と大きいので子供の頃から大きいといえば、大きいのですが。

体色はオスが褐色、メスは緑色でマレーシアの森の妖精というあだ名もあるほど。

 

オスは飛ぶことが出来ますが、メスは翅がありますが、体が重くて飛べません。

脚には鋭い棘が沢山ついていて、後ろを触られると、お尻を高く持ち上げ、翅を震わせ、ぎぃっという音を出しながら後ろ足でキックします。

 

後ろ脚の鋭い棘が刺さると、人間でも手から血が出ることがあるほど。

逆立ちするのは、尾部の葉のような翅を相手の前にだすことで自分の大きさを表現し、圧迫していると考えられています。(もう十分大きいんだけど・・・・・)

 

棘は足だけでなく、背部や腹部や前脚等にも存在します。

尾部は葉っぱのようで、擬態の様子はナナフシというよりはコノハムシに近いようです。

ちなみに、日本ではYahooオークションでペアのサカダチコノハムシが25000円ほどで販売されていたことがあるようですので、運が良ければ飼育することも可能かも!?

(ライター ナオ)