擬態の範疇を超えているのではないかと思うほどの昆虫、ナナフシ。

 

人間でも簡単に騙せてしまうほどの擬態ぶりを発揮しているナナフシは、学名ではPhasmatodeaodeaといい、「異様なもの」という意味の単語、Pasmaで表現されています。
そんなナナフシをすぐ側でじっくり観察してみたいと思いませんか?

ナナフシの名前

ナナフシの名前は体に節が沢山あることから名づけられたといわれていますが、決して節が7つという意味ではなく、7つという数字は「沢山の」ととらえた方が良さそう。
実際にナナフシの節の数を数えてみると7よりは多いものがほとんどです。

ナナフシの生態と食性

日本において、ナナフシは本州から九州、沖縄までの幅広い地域に生息しています。
ナナフシは基本的には雌雄がいて、交配して産卵するのですが、中には単為生殖する種類もいて、オスが非常に珍しいという種類もいるようです。

卵は硬い卵殻に覆われていて、これも一見すると植物の種のようです。卵までも植物に擬態させているのかもしれません。

枯れ葉のある地面のような所にばらまく様に産卵するので、本当に植物の種子と区別がつきません。

 

卵の大きさは3mmほどで、越冬は卵の状態でします。
翌春に卵から孵化する幼虫は10mmほどの大きさがあり、一体どうやってこの大きさの幼虫が卵の中にいたのかと思うほどです。

 

孵化した幼虫はクヌギやナラ、ヤナギなどの葉を食べるようです。草食性で、昆虫などは捕食しません。
昼間はほとんど動かずに身を潜め、夜にむしゃむしゃと一気に葉っぱを食べます。

 

翅も完全に退化していますので、飛ぶことも出来ません。
唯一、持っている防衛手段は、敵に襲われたときに自らの脚を切って逃げるという、自切行動をとるということでしょうか。

 

しかし、脱皮の回数を重ねた終盤の成虫に近い状態のナナフシには、ほとんど再生能力はないようで、新しい脚が生えるのも若いうちだけということのようです。

相手を攻撃する棘も針もない、捕まったとしても決してジタバタしたりしない、飛べないし、逃げ足は遅い・・・・・。

 

ここまでか弱い昆虫ですから、唯一人間をも騙してしまうほどの見事な擬態を手に入れたということなのでしょうかね。
ナナフシのように、ただ身を潜めるだけの擬態の仕方を隠蔽擬態というのだそうです。
逆に蜘蛛のように擬態して獲物を狙う擬態を攻撃擬態というそうです。

ナナフシの種類

世界には2500種とも3000種ともいわれるナナフシが存在しています。
日本においても40種類ほどのナナフシが確認されていて、代表的なものではトゲナナフシやエダナナフシなどが挙げられます。

ナナフシの飼育とエサ

ナナフシを飼うためにはまず、捕まえてこなければなりません。
ナナフシは夜行性なので、葉の陰などにじっと身を潜めています。

 

木を揺らしたり、枝を揺らしたときに落ちてくることも大いにありうるので、揺らす木の下にネットを広げて落ちてきたところを捕まえます。
ネットからとる時には無理やりとってしまうと自切行為で脚を切断してしまうこともあるので、ナナフシが自分で移動するのを待ちましょう。

 

ナナフシを飼うゲージですが、下に土を入れ、水差しにナナフシの好みの葉の枝をさしておきます。
後は時々霧吹きで葉っぱを湿らせてあげる事。

 

ナナフシは個体によって葉っぱの嗜好が分かれるようです。自分で捕まえたのならば、そのナナフシがいた植物の葉を与えておけば間違いありません。
植物が元気がなくなってきたら、新しい葉に変えてあげましょう。枝が長いものを準備すると、ナナフシの擬態が観察できて、楽しいかも。

 

エサ件、擬態観察の木は、エノキ、コナラ、ケヤキ、バラ、サクラなどですが、変わったところではハイビスカスという報告も。

卵を孵化させたい場合は、ケースに土は入れず、新聞紙等を敷きます。

 

これは産卵後に卵が土に紛れ、どこにいったか分からなくなってしまうからです。
卵だけを拾って別のゲージに入れておくと7か月で孵化。2か月で成虫になるので気長にじっくり待ちましょう。この間、温度が下がりすぎたり、乾燥しすぎたりは禁物です。

ナナフシの飼育のまとめ

ナナフシは比較的簡単に飼育することが出来ます。
注意するのは飼うナナフシの好きな葉っぱの特定と、乾燥を防ぐことだけ。
皆さんもぜひ間近でナナフシの驚異の擬態を楽しんでみてください。

(ライター ナオ)