サカダチコノハナナフシ。漢字で書くと、逆立木の葉七節です。
サカダチしているナナフシでしょうか。
余談ですが、私は逆立ちができません。
壁倒立すらできず勢い余って壁に頭をぶつけるし、側転もバック転も何もかもできない為、体育の授業では何をしていればよいのか分からず、困った覚えがあります。
サカダチコノハナナフシは常にサカダチしているわけではありませんが、サカダチが彼らの特徴の一つです。
大きさは横綱級!サカダチコノハナナフシアラカルト
ナナフシ科ナナフシ目のサカダチコノハナナフシは、マレー半島に生息する昆虫です。
巨大化する昆虫として知られていますが、英名は「Malayan Jungle Nymph」マレーの森の妖精だそう。
妖精、にしては図体がデカいような。
成虫を見るとバッタに似ているような気がしますが、脚の恰好が違うようでもあり、熱帯地方で大きくなり過ぎた何らかの昆虫かな、という印象です。
彼らの特徴のひとつは「重い」ことで、重さも横綱級です。
体長は大きいもので20㎝にもなり、体重は350g~500gになるそう。
色は黄緑。
500gの昆虫ってすごいですよ。ペットボトル1本分。
日本にいる細っこい牛蒡の様なナナフシとは、別種のように見えます。
オスとメスの大きすぎる違い
ここまでの話は、サカダチコノハナナフシの「メス」についてです。
オスにはオスで、また違う特徴があります。大きさは1㎝程度、体重も150g~250gほどで、体の色は茶色です。
二者が並んでいても、同じ昆虫には見えないほど印象が違います。
何というか、オス地味。しかしオスは飛ぶことが出来ます。メスは飛べません。
翅はとても小さく、体は飛ぶには大き過ぎるのです。
大きくて飛べないメスと、小さいが飛べるオス。
味のある組み合わせです。
このように、オスとメスがあまりにも違い過ぎると思われる種も存在します。
オオノミガなどがそうです。考え方の方向性によっては、ヒトにはそこまでの違いはないのかも知れないと思わなくもありません。
大きすぎる違いが埋められない溝にならないように注意すればいいのだから。
草食なのに大きい、そんな彼らの育ち方
草食の昆虫なのに、なぜにここまで大きいのか。
成虫になるとかなり大量に食べるようなので、量で補っているのでしょうか。
草食の中でも「広食性」とのこと。
なんでも食べる。
えり好みしていたら、大きくなれないんですね。
彼らの成長過程、大きく育つ生物ははじめから大きい
熱帯の昆虫らしく、卵の頃から大きいようです。
卵の大きさは5㎜から9㎜程。幼虫の時はまだ可愛らしく茶色です。
死んだふりもします。
成虫になると食欲は全開になり、寿命は10ヶ月程度。
育つ場所により個体差はありますが、こんな風にサカダチコノハナナフシは大きくなります。
必死に威嚇するサカダチコノハナナフシ
逆立ちするのは、メスのみに見られる行動です。
何だかユニークですね。
ちょっとかわいいといってもいいくらいです。
サカダチをしたサカダチコノハナナフシの姿に、威嚇の意味があるのだろうか、と思ってしまいますが、昆虫たちの威嚇ポーズは実に多彩です。
こんな大きいものが逆立ちしたら、それはそれで威力があるのでしょう。
単為生殖について、いきものの謎
サカダチコノハナナフシのもう一つの特徴は、単為生殖が見られるという点です。
単為生殖とは、簡単にいえばメスのみで子孫を残すことです。
寄生蜂やアリなどにも見られます。
勿論全てのサカダチコノハナナフシが単為生殖を行うということではなく、あくまでもそういう事例が確認されているということです。
ではなぜオスがいるのか?という話になりがちですが、生物の進化の過程においては、必ずしも子孫繁栄に効率的な条件のみが優先して選択されるとは限りません。
とても不思議なことです。
しかし自然科学の世界においては、しっかりと確認された事実が全てです。
オスメス同体という昆虫もいます。
雌雄同体ですね。
ゴライアストリバネアゲハという蝶に見られます。
昆虫の中には、染色体異常で体の半分がオス、もう半分はメス、という個体が稀に見られるそうです。
ギナンモロドルフ(gynandromorph) です。種によっては長く生きられません。
何にしてもオスやらメスの存在がカオス化している、という印象は否めません。我々はいつのまにかそういう世界に生きているのです。
(ライター おもち)