絶滅したと思われていたナナフシの一種ロードハウナナフシ。

不思議な形をしたロードハウナナフシについて詳しくお話します。

ロードハウナナフシの特徴

ロードハウナナフシはナナフシ目ナナフシ科に分類される昆虫です。

1925年に一度絶滅したとされましたが、2001年に再発見された幻の昆虫。最も希少な昆虫とされています。

 

オーストラリア領の本土から東に600㎞離れたところにある小さな島、ロード・ハウ島に生息しています。

成体の大きさはメスで体長15㎝、体重25kg、オスはメスより小さいサイズです。

 

体は細長く、頑丈な脚を持っていて、オスには奇妙な刻み目があります。

ナナフシ類には基本的には翅がありますが、この種は翅を持たず、陸のザリガニや歩くサソリと言われています。

ロードハウナナフシの歴史

かつてロードハウナナフシはロード・ハウ島では普通の種であり、釣り餌として使われていたこともありました。

絶滅したのは1918年に補給線がやってきて、島にクマネズミを持ち込んだことが原因と言われています。

 

それ以降、死んだ個体は数匹発見されてきましたが、2001年、昆虫学者と自然保護団体からなる調査隊がこの島の動物相と植物相を調べるために上陸し、その時にロードハウナナフシの個体群を一本のティートリーの仲間の低木の下で再発見したのです。

 

その時の個体数は極めて少なく、20~30個体だったと言います。

2003年には2組の交配ちゅうのつがいを採取し、一組はシドニーの個人的な飼育者に、もう一組はメルボルン動物園へ持ち込まれました。

 

個人の飼育者に渡った2匹の個体は2週間ほどで死んでしまったものの、メルボルン動物園に運ばれたものはアダムとイブという名前を付けられ、最初は困難もありましたが、無事に飼育下での繁殖は成功し、最終的な目的はこの種をロード・ハウ島へ再導入するのに十分なだけの個体数の確保となりました。

 

2006年現在では飼育下の個体群は50程の個体と孵化を待っている1000程の卵、2008年には700匹のナナフシと11376個の卵にまで増やすことができています。

2017年沖縄化学技術大学院のグループがロード・ハウ島で絶滅したとされていたロードハウナナフシが現在も20匹のロードハウナナフシからなる個体群として実際にボールズ・ピラミッドに生息していることを確認して証明しました。

 

現在はロードハウナナフシが絶滅に至った原因であるクマネズミの根絶に向け政府と市民がより強力な支援態勢が整えられ、せっかくのここまで増やしたロードハウナナフシが元の環境で再び絶滅しないようにするための課題はまだまだ尽きないようです。

ロードハウナナフシ発見ものがたり

ロードハウナナフの再発見の一連のストーリーは環境保護を訴える重要なメッセージとしてアニメ動画映像にもなっています。

島という閉ざされた空間に侵略的外来種のような人間が関与した変化をもたらした場合、以下にその生態系が脆いかということを提示し、島の動物相を根本から大きく変えてしまうものだということを伝えています。

 

また孵化の様子もメルボルン動物園が映像化して公開しており、茶色の卵の上部をまるで蓋がかぶさっていたかのようにぱかっと開けて中から出てくる緑色のロードナナフシの一種神秘的な様子がよくわかります。

 

触角や体をうねうねとくねらせ、長い脚を一生懸命卵からだそうとしている様子は見ているだけでもハラハラしてしまいます。

長い脚は最後まで卵から出ずらく、この間に力尽きてしまうのではないかと思うほどの労働です。

 

天敵がいればこの間に真っ先に食べられてしまうでしょう。

5分程かけゆっくりと長く大きな体をたまごから出した後にようやく歩き出します。

(ライター ナオ)